鹿児島県住宅公社が解散方針 県が無利子で貸した115億円どうなる 経営厳しく完済見通せず 県が債権放棄の見方も
2022/11/24 08:30

未分譲地が残る妙円寺団地。区画の細分化で売約も出てきた=日置市伊集院
日置市伊集院の妙円寺団地の北側を歩くと、建築中の注文住宅やモデルハウスが目に付く。公社が開発、分譲した55団地のうち、分譲区画が残る唯一の団地だ。昨年から区画を分割して売り出したところ、購買の動きが出てきたという。
1979年に販売を始めた。総分譲戸数は2186戸で、ここ数年は平均25区画程度が売れ、残りは18日時点で40区画。伊村秀己理事長は「販売はおおむね順調。2026年度までに売り切りたい」と話す。
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「26年度」は公社が県から巨額の貸し付けを受ける前提となった経営健全化計画の終了年度だ。計画は(1)17年度に債務超過解消(2)26年度までに全分譲資産売却-などを掲げていた。
公社は新たな宅地開発はせず、経費削減や民間手法を採り入れた販売促進に努めた。だが計画策定時点で224億円に上っていた金融機関からの借り入れを完済したのは21年3月で、予定より5年遅れた。その分、県と公社の貸借契約の中で「金融機関への完済後」としていた県への償還開始は23年度にずれ込んだ。
公社の21年度決算によると、資産70億円に対し、負債は県に借りた115億円の返済を含め120億円で、50億円の債務超過。塩田康一知事は9月県議会で、公社が26年度までに県への全額償還を終えるのは困難との見通しを示した。
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公社は解散に向けて引き続き分譲資産の売却や賃貸物件の入居率アップに努めて債務圧縮を図る。健全化計画終了時には資産整理方針もまとめる予定だ。監督する県住宅政策室は「計画終了後も、資金ショートを回避しながら県への返済を続ける」とする。
だが、不動産価格は先行き不透明で、債務をどこまで減らせるか見通せず、資産を整理しても債務を相殺できる保証はない。
鹿児島大学の林田吉恵教授(経済学)は、債権放棄となれば便益を受けていない将来世代に負担だけが先送りされると指摘。「(県は)その重みを受け止め、経営健全化計画の検証や県民への説明責任を果たす必要がある」と話す。
■鹿児島県住宅供給公社
地方住宅供給公社法制定に伴い、県の全額出資で1965年設立された。2004年度に5億円の債務超過が生じたため、県に支援を要請。公社が策定した経営健全化計画(06〜26年度)を踏まえ県は06年4月、無利子で115億円を貸し付けた。21年度決算では分譲資産の大規模用地を売りやすくするため評価を下げる方向で見直したり、賃貸事業の連続赤字に伴う減損処理を実施したりし、債務超過が50億円に上った。
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