任意のはずがほぼ強制…鹿児島伝統の朝課外(ゼロ校時)に高校生から疑問の声 「いつも睡眠不足」「授業に集中できない」

 2022/11/27 08:30
朝早く登校する高校生ら=鹿児島市のJR鹿児島中央駅前アミュ広場
朝早く登校する高校生ら=鹿児島市のJR鹿児島中央駅前アミュ広場
 鹿児島県内の普通科高校で長年続く“朝課外”に、高校生から疑問の声が「こちら373」に寄せられた。「任意のはずが強制されている」「いつも睡眠不足でつらい」と悩みは深刻。主体的、探究的な学びを重視する新学習指導要領や教師の負担軽減などの観点から、九州各県では見直す動きが広がっている。

 朝課外は通常授業前の非正規授業で、「ゼロ校時」「朝補習」などとも言われ、対象や時間はさまざま。鹿児島県教委高校教育課によると、参加は任意。主にPTAが学校に依頼し、教員の手当も負担している。

 しかし、高校生に取材すると、任意との認識は薄く、正規の授業のように受け止めて参加しているのが実情だ。

 朝課外は一般的に通常の始業の1時間ほど早い午前7時半ごろに始まる。鹿児島市内の3年男子は公共交通機関を乗り継ぎ通学に1時間以上かかるため、毎朝午前5時半に起きる。「問題演習が基本だが、教科書が進む場合もある。睡眠は5時間ぐらい。授業に集中できない」。保護者の送迎に頼る生徒も多い。間に合わない生徒もいるという。

 別の公立高校に通う3年男子はツイッターで朝課外に関するアカウントを運営している。「朝から弁当を作る保護者も大変」「8時限目まである日は疲弊して家に帰る」といった声が寄せられた。

 朝課外の始まった時期や経緯ははっきりしないが、甲南高校の創立百周年記念誌には1958(昭和33)年4月に始まったとの記録がある。大都市圏に比べて塾や予備校が少ないことから、学力向上を目的に九州各県で広がったらしい。

 九州各県では見直す流れがある。大分県の県立高校は18年までに廃止。熊本県教委は21年に廃止の検討を各校に要請した。

 熊本県教委は見直しの理由として(1)新学習指導要領のスタート(2)教員の働き方改革(3)1人1台の端末導入で個別の学びが可能になった(4)生徒・保護者の負担軽減-を挙げる。

 22年度から始まった新学習指導要領は知識や技能だけでなく、思考力・表現力・判断力、学びに対する態度を身につけることを求める。知識重視だった大学入試の改革も進む。

 鹿児島県内では錦江湾高は20年度、与論高が21年度から朝課外を廃止した。与論高の甲斐修校長は「多様な目標を持つ生徒に同一の問題を解いてもらうだけでは立ち行かない。朝課外が意味を持っていた時代もあったが、今は生徒が自分で考える力を身につけることが大切」と話す。

 県教委高校教育課によると、県立高校61校のうち32校が朝課外を実施(22年5月)。「保護者の要望を受けてのもので、実施は各校の判断。強制ではなく任意であり、各校に保護者と生徒への意思確認を促した」と説明している。