午前5時半、国宝・霧島神宮の朝は国家と国民の安泰を祈る「御日供祭」から始まる。普段は入れない神聖な場所。背筋が伸びる思いがした
2022/12/03 21:21

本殿のご神鏡に向かって祝詞を奏上する神職=午前5時36分
ドーン、ドーン、ドーン、ドドドドド。太鼓の律動が早朝の静寂を破った。板間から振動が伝わり腹にじんわりと響く。
まだ暗い午前5時半。神宮の朝は、社殿での『御日供祭(おにっくさい)』から始まる。主祭神のニニギノミコトにお供えものをささげて、一日の国家と国民の安泰を祈る。普段は入れない神聖な場所で、厳かに進む神事。背筋が伸びる思いがした。
おはらいをし、拝殿から本殿のご神鏡に向かって一拝。お供えの酒と水の容器のふたを開けた後、祝詞を奏上した。少なくとも「神宮」と呼ばれるようになった1874(明治7)年から148年間、祝詞の中身は変わっていない。
3年前から新型コロナの鎮静を祈る祝詞を合わせて読みあげているという。遠くからさい銭を投げ入れる音がした。
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太鼓で姶良里(あいらさと)神楽を献じ、酒と水のふたを閉じる。再びご神鏡に頭を下げ、太鼓を鳴らして午前5時50分ごろに終わった。
神事をたった一人で執り行ったのがこの日の当番の谷口優也さん(32)だ。実家は霧島市国分広瀬3丁目の大穴持(おおなむぢ)神社で、10年前から神宮で勉強している。「冬は床が冷たくて大変だが、終わるといつもすがすがしい気持ちになる」とほっとした様子だった。
御日供祭は神職の持ち回りで約10日に1度担当する。谷口さんは前日から社務所に泊まり込み、午前4時半に起床。おはらいで身を清めた後、本殿のご神鏡の前にかけられた御簾(みす)をあげる。続いて登廊下でつながった神饌所(しんせんじょ)からお供えもの(神饌)を本殿に運ぶ。お米、お酒、魚、野菜、果物、塩、水だ。その後、袴(はかま)から白地に丸い金色の模様が美しい狩衣(かりぎぬ)に着替え、御日供祭に臨む。「より清浄な状態で臨めるよう、祭典専用の衣装を使っている」
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午前6時過ぎ。すっかり明るくなった境内には、数人の参拝者の姿があった。
霧島市国分のケアマネジャー、内園ゆき子さん(72)は早朝参拝を10年近く続ける。「ここに来ないと一日が始まらない。家族と病院利用者の健康を祈っている」と10月に生まれた孫の暁斗ちゃんの写真をうれしそうに見せてくれた。「いい一日になりますように」と言い合って別れた。
■霧島神宮 6世紀、高千穂峰と御鉢噴火口の間にある脊門丘(せとお)に開かれたのが始まりとされる。霧島山の噴火や火災で移転を繰り返し、15世紀に現在地へ至った。現在の社殿は1715(正徳5)年、薩摩藩主・島津吉貴の寄進で建立された。天照大神の孫神、ニニギノミコトを主祭神とする。
(連載「国宝 霧島神宮 密着24時間」㊤より)
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