〈続・「国宝 霧島神宮 密着24時間」〉昼は裏方たちの出番。掃除に修繕…東京ドームとほぼ同じ5万平方メートルの聖域を守る
2022/12/03 21:10
長箒で落ち葉を集める清掃担当の窪田稔さん=午前7時半
長さ3メートルほどの長箒(ぼうき)が目を引く。半円状に振り回して流れるように落ち葉を集める。モウソウチクの枝を15本ほど束ねて手作りした。「普通の箒では時間がかかり過ぎる。機械を使うと音がうるさくて厳かな雰囲気に合わない」
午前8時過ぎから全職員で社殿などを1時間かけ清掃しているが、敷地は東京ドームと同規模の約5万平方メートル。それだけでは手が回らないため、窪田さんとパート2人が清掃専門の職員として、その後も作業に当たる。
今の時期は、初詣に向けて臨時駐車場の草払いに力を入れる。「境内は木が多くて毎日大変だが、参拝者には少しでも気分よく過ごしてほしい」と願う。
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午後1時半。神宮近くで神事用の米を栽培する斎田脇の林道を車で2~3分ほど進む。50アールほどの“畑”が見えてきた。神宮では祭事などで使うサカキを山で栽培している。
この道17年の松元利行さん(47)が高枝切りばさみで一本一本収穫していく。日光に当たって赤く変色したものを避けながら、形のいい枝を毎日少なくとも30~40本集める。「同時に枝切りもしないと葉の数が少なくなる。手をかければかけただけ、いいサカキが取れるのでやりがいがある」
神宮は約880ヘクタールもの山林を保有。松元さんら5人が間伐などの手入れをしている。「とにかく広大なので、木を1本切るにも効率的で疲れない方法を考えている」という。
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午後2時。しとしとと雨が降る中、社務所前で荒田順二さん(48)が9月の台風14号で根元から折れた灯籠の改修をしていた。
土台を新調し、照明は再利用。「元々は普通の大工だったが、神宮は特殊な造りのものが多いので日々勉強。くぎなど近代的な工法は極力使わない工夫をしている」
日中は修繕が必要な箇所がないか見回りをしている。年末年始になると設置される仮設の授与所も荒田さんが手がける。「自分が建てたものが大切に使われるのを見るのはうれしい」と笑う。
神宮で働くのは神職14人とパートも含めて46人。誇りを持って職務に励む“裏方”があってこそ神聖な表舞台がある。
(連載「国宝 霧島神宮 密着24時間」㊥より)
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