再任用拒否は「裁量権を逸脱」 東串良町に支払い命令 鹿児島地裁

 2022/12/09 10:37
 再任用の更新を拒否したのは裁量権の濫用(らんよう)などとして、東串良町の元再任用職員の男性(63)が町に給与の逸失利益など約330万円の賠償を求めた訴訟の判決が7日、鹿児島地裁であり、坂庭正将裁判長は「裁量権を逸脱し違法」として、町に約250万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は町職員として2019年3月まで税務課などで勤務。定年退職後の同年4月に再任用された。21年度の更新を希望した際、町は男性が19年に町を相手に起こした住民訴訟を巡り、「税務調査の情報を公にしたのは守秘義務違反に当たる」などとして更新しなかった。

 坂庭裁判長は判決理由で「原告が税務情報を利用し訴訟を起こしたのは、地方税の公正な徴収などの公益を図る目的。守秘義務には違反しない」と認定した。

 東串良町は「判決文が送達されておらず、コメントを差し控える。弁護士と協議し、適切に対応したい」とした。