米軍無人偵察機の運用開始から2カ月…防衛省が確認書に明記した「連絡会」は未設置 鹿屋

 2023/01/22 11:28
海上自衛隊鹿屋航空基地に駐機する米軍無人機MQ9(手前から2機目)。その奥はC12小型輸送機=20日午後1時50分ごろ、鹿屋市
海上自衛隊鹿屋航空基地に駐機する米軍無人機MQ9(手前から2機目)。その奥はC12小型輸送機=20日午後1時50分ごろ、鹿屋市
 21日で運用開始から2カ月となった海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)での米空軍無人偵察機MQ9の一時展開で、防衛省側が市との確認書に明記した民間事業者との連絡会を設置していないことが分かった。市が求めた米軍関係者の通勤バスも運行されていない。

 防衛省九州防衛局は昨年7月、一時展開に関する協定書を市と締結した際、パトロールや迅速な情報提供を実施するとの確認書を交わした。その中で、同局が鹿屋基地内に置く現地連絡所と民間事業者などで連絡会をつくると明記。現地連絡所は8月に開設した。

 連絡会の未設置について同局は「現在、市と設置を検討している」としたものの、遅れている理由は答えなかった。市政策推進課は「事業者の安心になると思い、こちらから提案した。設置を求める声がなく進んでいない」と説明した。

 住民からは批判の声が上がる。市中心部の小売業の60代女性は「なぜこんなに遅くなっているのか。米軍の情報はしっかり提供してほしい」。市商店街連合会の前田数郎会長は「連絡会をつくることさえ知らなかった。そのような会があるなら米兵との交流を提案したい」と話す。

 ほかに市は、ホテルに宿泊する米軍関係者の出退勤にマイクロバスの使用を求めていた。九州防衛局は取材に「米側がバスを借り上げているとは承知していない。公用車で可能な範囲でまとまって通勤している」として、問題はないとの認識を示した。

 市内では昨年11月、米兵の車と高校生のミニバイクが接触。高校生がけがをした。市の担当者は「事故を避けるにはバスが一番いい」としつつ、改めて運行を求める考えはないとした。

 一時展開を巡り、市と県、現地連絡所には19日現在、相談や問い合わせが計52件あった。米軍関係者のトラブルは把握していないという。