たった一人の「高校宇宙部」 夢満載の壁新聞を毎月発行 楠隼高の1年生「仲間増やしたい」 アルテミス計画の解説、自作ロケット実験結果も 鹿児島

 2023/02/03 21:03
壁新聞の発行を続ける米満恭平さん=肝付町の楠隼中学・高校
壁新聞の発行を続ける米満恭平さん=肝付町の楠隼中学・高校
 鹿児島県肝付町の楠隼中学・高校で毎月、宇宙関連の記事やコラムを掲載した壁新聞「志す宇宙は無限」が張り出されている。高校1年の米満恭平さんが「多くの人が宇宙を身近に感じる機会になれば」と1人で製作している。昨年8月の創刊号から順調に紙齢を重ねているものの、発行のきっかけには米満さんの抱える“深い悩み”があったという。

 米満さんは現在、モデルロケット製作などに取り組む「高校宇宙部」の部長を務める。ただ、部員はゼロ。昨年6月に高3生が引退して以降、1人で活動を続けている。「活動の魅力を伝えて仲間を増やしたい」。新聞を使った情報発信を思い立ち、毎月1回の発行を始めた。

 A3判1枚。新聞の名称は校歌の一節を引用した。一般紙やインターネットニュースの関連記事を参考に、約1週間かけて執筆と編集に取り組む。

 1月号は宇宙飛行士を月に送る「アルテミス計画」の解説などを掲載。「専門用語を分かりやすく書くことが難しい」と語る。自作ロケットの打ち上げ実験結果を記したり、コラムで宇宙産業の展望を取り上げたりするなど、飽きさせない紙面構成にも知恵を絞る。

 今のところ部員獲得には至っていないが、周囲からの評判は上々だ。米満さんは「最新ニュースを追いかけ、部活動の成果も記録できる新聞作りに新たなやりがいを感じている」と笑顔。「もっと多くの人に読んでほしい。町の公共施設にも張ってもらえないだろうか」と願った。