賛否は言わないけど…基地できる前提で市政運営、西之表市長が表明 新年度予算案で馬毛島交付金活用「選択肢できた」

 2023/02/25 08:08
施政方針を述べる八板俊輔市長=24日、西之表市役所
施政方針を述べる八板俊輔市長=24日、西之表市役所
 鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備について、同市の八板俊輔市長は24日開会した市議会定例会で「現実の動きに対応し、最善の道を一歩ずつ前進したい」と述べ、基地整備を前提に市政を運営する考えを初めて明らかにした。賛否には従来通り踏み込まなかった。

 八板市長は施政方針の中で、市民生活や経済活動への基地整備の影響に触れ「国、県と連携し、緊急的な対応に取り掛かっている」と報告。「市民の不安、期待の声に寄り添い、市の発展の道を全力で切り開きたい」と述べた。

 報道陣の取材に対し、「現時点で同意、不同意を言う状況にない」と説明。賛否判断の材料や時期については「市民生活に影響のある問題が出ている。そんなことを言っている場合ではない」と語気を強めた。

 同日の定例会に提案した2023年度一般会計当初予算案には、米軍再編交付金を活用する7分野45事業の約17億1500万円を盛り込んだ。

 内訳は「社会基盤・環境」4事業7億2173万円、「防災・防犯」に10事業1億7674万円、「地域産業」5事業3億1388万円、「子育て・教育」15事業2億2300万円、「文化・スポーツ」8事業1億5195万円、「健康・福祉」1事業3520万円、「行政運営・市民協働」2事業9253万円。

 市は23年度の再編交付金を最大20億7100万円程度と試算する。八板市長は報道陣に「財源の選択肢ができた。有効に活用しないといけない」と話した。

 馬毛島の基地整備を巡っては、11年に日米が米軍機訓練移転の候補先として共同文書に明記。八板氏は計画反対の立場で17年の市長選に初当選、21年に再選する一方で、防衛省は整備に向けた手続きを進めた。鹿児島県の塩田康一知事は22年11月に計画容認を表明し、同省は23年1月12日に基地本体の工事に着手した。