職場結婚を報告すると「おめでとう。いつまで働くの?」 結婚=女性は退職という不文律…怒りがこみ上げた
2023/03/10 11:27

制服ではなく、ビジネスカジュアルで窓口業務にあたる鹿児島銀行の女性行員=2月27日、鹿児島市金生町
鹿児島市の20代女性は、勤務先の会社の上司にこう言われた。妊娠して産休に入る訳でもない。近く結婚すると知らせただけだ。
でも、特に驚きはなかった。会社には「女性は結婚したら退職」という不文律があったからだ。過去に「パートでも構わないから残らせてほしい」と懇願した社員もいたが、かなわなかった。
上司に報告した後、同僚からは祝福を受けると同時に「いつまで働くの?」と声をかけられるようになった。結婚相手は同じ職場の男性。「なぜ自分だけ辞めないといけないのか」と怒りがこみ上げ、ぎくしゃくした時期もある。
社内で産休や育休を取得した女性は見当たらず、管理職もいない。将来のビジョンを描けず、次第に気力もなくなった。結局、昨年末に退社した。「令和になっても時代遅れの職場がある」。女性は悔しさをにじませた。
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鹿児島県が2021年度に実施した男女共同参画に関する企業実態調査では、退職した理由を「結婚」と回答した女性のうち、6.1%が「結婚退職が職場の慣行だから」と回答した。前回16年度調査の17.5%と比べて半分以下に減少したものの、依然として働き続けたい女性の障壁となっている。
南日本新聞が県内の民間で働く約2000人から回答を得たアンケートでは、「同じ仕事でも女性は結婚すると手当がなくなる」(大崎町・40代女性)、「手当支給は男性社員だけ。女性は昇進なし、昇給もほぼなし」(垂水市・50代女性)など、性別を理由にした待遇格差を問題視する意見が寄せられた。
「会議に女性の参加を認めない雰囲気がある」(さつま町・60代男性)といった女性蔑視の風潮を指摘する声も上がった。
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職場の慣行を見直す動きもある。鹿児島銀行(鹿児島市)は昨年4月、ジェンダー平等の考えから女性行員への制服貸与をやめた。4月からは制服自体を廃止、ジャケットやブラウスなどの「ビジネスカジュアル」を基本とする。
同行の制服は、1953(昭和28)年に設けられた社内規定で「女性従業員に貸与する」と明記。少なくとも70年前から存在していたとみられる。女性だけが対象になっている理由は分からないという。
人事改革室の東條史朋調査役は「これまで何とも思っていなかった規定に、時代錯誤なものがあると実感した。制服廃止で『女性は事務、男は営業』という固定観念の定着を避け、女性のキャリアアップにもつなげたい」と話した。
(連載「働く 平等ですか?かごしまの職場から」より)
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