【馬毛島自衛隊基地計画】22日から港湾工事に着手 東岸全域で漁制限、地元漁協に22億円補償
2023/03/18 10:00

訓練基地建設が着工した馬毛島。画面奥は種子島本島=西之表市の馬毛島(本社チャーター機から撮影)
防衛省などによると、漁業制限は現時点で2027年11月末まで。区域は約1100ヘクタールに及び、うち約100ヘクタールは港湾施設が整備されるため漁業権が消滅する。
同省は漁業補償として(1)漁業権消滅に約5億5000万円(2)工事などによる漁業制限に約6億8000万円(3)漁場価値の減少に約9億7000万円-の計約22億円を提示。漁協は今年2月、臨時総会などを経て漁業権の一部消滅と補償の受け入れに同意した。
島東岸はトコブシの主要漁場。市などが毎年1万~2万個の稚貝を放流しており、種子島漁協での水揚げのうち、馬毛島産は6割超を占める。一部漁師から「工事は6~8月の漁期を外してほしい」との声が出ていた。漁協は漁業制限解除後を見据え、区域内で継続して漁場保全活動に取り組めるよう要望したという。
防衛省側は着工に当たり、土石採取や岩礁破砕、希少サンゴの移設など計8件の許可を今月3日付で県に申請。西之表市から漁業資源の保護や漁業への影響に配慮を求める意見書の提出を受け、県は13日付でいずれの申請も認めた。
防衛省によると、サンゴの移設は14日に着手した。港湾施設の整備区域で「オキナワハマサンゴ」や「オオハナガタサンゴ」の生息が確認されたため、岩ごと取り除くなどして9月末までに馬毛島の北側と南側に移す。今月22日から仮設桟橋の整備に入り、基礎石(捨て石)の海中投入などを進めるとみられる。
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