輪になって船を手渡し「エンヤオー」 伝統の吹上「船こぎ祭り」4年ぶり

 2023/03/21 08:20
木製の船を揺らしながら、境内を巡らせる住民ら=20日午前、日置市吹上の船木神社
木製の船を揺らしながら、境内を巡らせる住民ら=20日午前、日置市吹上の船木神社
 鹿児島県日置市吹上の上田尻集落にある船木神社で20日、住民らが木造模型船を手渡していく「船こぎ祭り」が4年ぶりにあった。見物人を含む約40人が境内で輪になり、「エンヤオー、エンヤオー」のかけ声とともに豊作や家内安全を祈った。

 祭神の猿田彦命(さるたひこのみこと)が海路で大和の国から吹上まで、大汝牟遅命(おおなむちのみこと)の供をした神話があり、航海の安全を祈る祭りが転化したといわれる。宝殿には江戸時代からの模型、約60隻が納められている。最も古いものは天明6(1786)年と記されている。

 参加者は体の前でろをこぐように船を3度回し、隣に手渡した。鹿児島市の自営業徳田志帆さん(41)、明奈さん(35)姉妹は、父親が同集落出身。「参加して楽しかった。地域が一体となって伝統をつなぐ姿に感動した」と話した。

 昨年16年ぶりに復活した刀踊りも奉納された。