無人偵察機MQ9「有事の情報収集も」 米空軍の鹿屋駐留4カ月 司令官、地元の歓迎に謝意
2023/03/21 07:30

記者の質問に答える無人機部隊司令官のアレクサンダー・ケリー中佐=2022年11月5日、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地
鹿屋基地での米軍無人機運用は昨年11月21日に始まった。今年11月20日までの1年間、8機を配備し、24時間体制で警戒監視に当たる。米軍関係者約150~200人が鹿屋市内のホテルに滞在している。
ケリー司令官はインタビューで、部隊駐留の目的を「平時と有事の作戦で広範囲の監視、偵察、情報収集能力を支えること」と回答した。
その上で「運用開始以来、首尾よく遂行している。われわれの任務は世界の動きに即したものであり、日本との同盟強化を支える重要な仕事を続けている」とした。MQ9の活動で中国との軍拡競争を懸念する声が上がっていることには「自らの能力の範囲内の問題についてのみ話せる」として返答を避けた。
駐留する米兵が昨年11月、鹿屋市で高校生のミニバイクとの衝突事故を起こしたことに関連し、ほかに大きな事件事故はないとした。「安全確保に必要なコミュニケーションとパートナーシップの維持のため、地元の指導者と引き続き協力する」としている。
地元の受け入れについては「地域社会が私たちを歓迎し、交流することに努力してもらっている」と謝意を示した。「基地と地域社会をつなぐために、海自や防衛省と緊密に連携してきた」とも述べた。
今後はスポーツイベントやバーベキュー、山登りを計画しているという。「双方のイベントやさらなる交流を楽しみにしている。私の家族が数カ月後に訪れる予定で、鹿屋の街を見せて人々に会わせたい」とした。
ケリー司令官は2007~10年、在日米軍嘉手納基地(沖縄県沖縄市など)で勤務。10年に米本土でMQ9の操縦訓練を受け、無人機のパイロットや部隊司令官を歴任した。トルコの米空軍基地でMQ9派遣隊司令官も務めた。
■MQ9
米ジェネラル・アトミクス社製の無人機。全長約11メートルの流線形の機体で主翼幅約20メートル、Y字型の尾翼を持つ。上空1万5000メートルの「高高度」から高精度で撮影し、センサーで悪天候でも目標物を確認できる。時速333キロで32時間の飛行が可能。騒音は単発プロペラ機の軽飛行機と同程度とされる。米軍は中東や欧州で偵察・攻撃作戦に使用。今年3月14日には黒海上空で活動中の機体がロシア軍機と衝突して墜落したと発表した。
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