公共工事の「土曜休み」 大手業者は歓迎するが…中小は「経営悪化を招いてる」 建設業の残業規制まで1年
2023/05/03 11:36

完全週休2日制が実施されている春松川の除石工事現場=4月28日、鹿児島市野尻町
県は21年度、国や県、43市町村が発注する全ての工事で「土曜休み」を推奨するリフレッシュサタデーを取り入れた。初年度は第4土曜日のみだったが、22年度は第2土曜日を追加。23年度は第2~4土曜日の月3回に増やした。休日増に合わせ、週休2日を前提とした工期も設定。「長時間労働の解消や作業員の処遇改善につなげる」(県技術管理室)狙いがある。
「発注者が率先して休みを取りやすい環境づくりを後押ししてくれるのは業界にとってプラスになる」。大手建設会社渡辺組(鹿児島市)の高吉克児経営管理室長は県の取り組みを好意的に受け止める。
同社は土曜を原則休みとし、週休2日の徹底を図る。4月には各部署の若手と中堅社員で「働き方改革&DX推進委員会」をつくった。24年度から始まる残業の上限規制を見据え、書類管理や決済業務をペーパーレス化するなど業務負担の軽減にも力を入れている。
一方、土木工事を請け負う鹿児島市の70代建設会社社長は「休日が増えると言えば聞こえはいいが、手放しでは喜べない」と語る。工期が長引いた分だけ、人件費や重機のリース料など経費が膨らみ、資金繰りが悪化。この間、別の工事の受注は難しく、売り上げが落ち込んでいる、という。
慢性的な人手不足にも陥っており、離職を防ぐため、作業日数は減っても給料は据え置く実質的な賃上げを実施している。建設資材の高騰も追い打ちをかけ、「下請けの体力はやせ細り、いずれ倒産・廃業する企業が増える。働き方改革は人材確保に向けた施策だったはずだが、本末転倒ではないか」と強調。「残業をしてでも稼ぎたいという人にも目を向けた制度設計もすべきだ」と注文した。
県建設業協会の安藤司専務理事は「業界特有の下請け構造があり、企業間で対応に差があるのは確か」と働き方改革の難しさを指摘する。上限規制まで1年を切り、「生産性向上や待遇改善など実効性を高められるか正念場に来ている」と話した。
■時間外労働の上限規制
2019年施行の働き方改革関連法に基づき、時間外労働(残業)の上限を原則、月45時間、年360時間とした。違反すると6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。大企業は19年4月、中小企業には20年4月に導入されたが、労働環境をすぐに改善するのが困難な建設業は自動車運転業、医師とともに24年3月末まで適用を猶予されている。
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