新型コロナは5類に変わった…では外来診療は? 「これまで通り」「インフルエンザと同じに」 医療機関の対応分かれる

 2023/05/17 07:30
5類移行後もクリニック入り口に設ける検温と手指消毒のスペース=15日、鹿児島市の三愛クリニック
5類移行後もクリニック入り口に設ける検温と手指消毒のスペース=15日、鹿児島市の三愛クリニック
 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが8日に5類となって1週間が過ぎ、鹿児島県内の医療機関では、発熱の診察や検査など外来患者の受け入れ態勢を巡り模索が続いている。診療所関係者は「感染対策を緩めても混乱はない」「行動制限がなくなり院内感染が不安」と受け止めはさまざまだ。

 鹿児島市の三愛クリニックは8日から1週間の15日、移行前と変わらず入り口で検温と手指消毒を求めていた。「高齢者や基礎疾患がある人がおり、集団感染を防ぐ必要がある」と尾辻章宣院長(75)。医療費が自己負担となったことを伝えると検査を断る患者が出始め「受診控えや、他の病気を見逃す可能性がある」と気にかける。

 国は5類移行を機に、コロナの診療実績のない施設を含めた幅広い医療機関で患者を診る体制を目指す。外来の感染対策として、仕切りによる簡単な分離や空き部屋の活用、構造的に難しい場合は時間帯を分けるといった工夫を例示。具体策は規模や人員によって施設ごとに判断する。

 姶良市のある診療所は発熱患者が来院する際、事前連絡を求める張り紙の掲示をやめた。移行前は熱があれば車内待機を求めたこともあったが、今は別室に案内する。担当者は「季節性インフルエンザと同様の対応にした」と冷静に話す。

 一方、発熱患者や付き添いが突然訪れるのに戸惑う声も上がる。指宿市の木之下クリニックの木之下藤郎院長(59)は「インフルエンザは陽性者の家族も入れていたが、コロナは広がりやすく感染が疑われる家族が複数出入りするのは不安」。南さつま市のクリニックでは移行後、マスクなしで来る患者の姿も。担当者は「高齢の透析患者の入院が多く、院内感染が出ると命の危険もある。症状がある人は事前に連絡してほしい」と話す。

 県医師会の大西浩之副会長(61)は「施設ごとにコロナ患者をどのように受け入れるか、考え方はさまざまだが、ある程度の統一を目指す」と説明する。県民へは「まだ医療機関によって対応に違いがあることを理解してもらい、熱が出たらマスクを着けるなど基本的な対策をしてほしい」と呼びかける。

 県は16日現在、コロナの外来診療に当たる施設として904医療機関を指定している。発熱時はかかりつけ医へ事前に相談してから受診することを推奨。相談先に困った場合は「コロナ相談かごしま」や、保健所の受診・相談センターなどの窓口が応じる。

 ■新型コロナウイルス感染症の5類移行 致死率の低下などを受けて政府は、新型コロナの感染症法上の位置付けを5月8日に「新型インフルエンザ等感染症」から「5類」へ引き下げた。法律に基づく入院勧告や外出自粛要請はなくなった。医療費は、高額な治療薬代や入院費の一部などを除いて自己負担が発生する。感染者の全数把握はせず、流行の動向は指定された「定点医療機関」からの報告で把握する。