コロナ感染定点把握 1週遅れの数字…「流行の見定め遅れる」 医療・高齢者福祉施設に不安なお 警戒基準の整備求める声も

 2023/05/20 07:32
せき症状を訴える子どもを診察する医師=19日、鹿児島市のかごしまたんぽぽ小児科
せき症状を訴える子どもを診察する医師=19日、鹿児島市のかごしまたんぽぽ小児科
 新型コロナウイルス感染者の集計法が定点把握に変わって初の報告となった19日、鹿児島県内の医療機関や高齢者福祉施設の関係者からは「数字は1週遅れで、感染への警戒感が薄れる」との不安が聞かれた。感染拡大時に注意喚起するための基準の早期整備を求める声も上がった。

 感染者数を報告する定点医療機関の一つ、鹿児島市のかごしまたんぽぽ小児科には19日、発熱やせきの症状を訴える子どもたちが訪れた。3人の子どもと来院した40代女性は「以前は感染者数を毎日確認していた。今は気にしていないが、手洗いとうがいを続けている」と話した。

 同院の山元公惠院長(59)は定点報告について「ある程度流行が分かるが、移行前の感染者数と単純に比較できず、危機意識が低くなる恐れがある」と指摘。大型連休後に感染が判明する患者が増え、警戒が続いており「体調が悪いときは学校を休むなど、引き続き気を付ける必要がある」と呼び掛ける。

 特別養護老人ホーム「くすの木グリーンハイツ」(同市)は、「5類」移行後も面会の人数や時間の制限を設ける。白男川工作総括部長(53)は「高齢者は感染によるリスクが高いため、感染の防止に気が抜けない」。1週間遅れとなる定点報告は、全数報告に比べ最新の感染動向が把握しづらいと懸念、「インフルエンザと同じように、警戒の基準があれば対策の判断がしやすい」と要望した。

 同市和田2丁目の女性(63)は、同居する夫(62)も基礎疾患がありこれまで感染者数の動向に気を配ってきた。女性は「毎日の発表から週1回になるのは不安。集計方法が変わったことも今日初めて知った。県はもっと県民に周知してほしい」と話す。