いよいよ連携?…サッカースタジアム構想で鹿児島市長が県議に説明会 市議会は「順番がおかしい」と反発

 2023/05/23 08:00
鹿児島県が新総合体育館の整備を計画しているドルフィンポート跡地(中央)
鹿児島県が新総合体育館の整備を計画しているドルフィンポート跡地(中央)
 鹿児島市が鹿児島港本港区エリアで構想する多機能複合型サッカースタジアムを巡り、下鶴隆央市長が県議会鹿児島市・鹿児島郡区選出の議員に26日、説明会を開くことが分かった。市は「県との連携が目的」としている。県議会向けに市長が説明会を開くのは初めて。

 スタジアム構想で市が候補地の一つに挙げているドルフィンポート(DP)跡地には、県が新総合体育館を計画し、2029年度にも開設する工程を4月に発表した。説明会開催は県議に理解を求め、厳しい状況の打開を探る狙いもあるとみられる。

 市は5月初旬、同区選出の全17議員に、下鶴市長名で「鹿児島市政説明会の開催について」との文書を郵送した。スタジアム整備、こども医療費助成制度、土地区画整理事業の三つを説明事項に挙げている。26日午後4時から、県市町村自治会館で開く。

 下鶴市長は開催の目的を問う取材に応じていない。市政策企画課は4月の県議選を挙げ、「改選を機に県と市の連携が必要な施策について説明するため」としている。

 スタジアム構想で市は、DP跡地と住吉町15番街区を含む本港区エリアでの整備を目指すとしている。本港区の全体像を議論する県利活用検討委員会は、DP跡地に県の新総合体育館を整備する前提で、隣接の緑地は今のところ残す方針を示している。緑地の大半をつぶすDP跡地でのスタジアム整備に下鶴市長は「厳しい」との認識を示している。

■「完全にいびつだ」

 下鶴隆央市長が鹿児島市・鹿児島郡区選出の県議に多機能複合型サッカースタジアムに関する説明会を開くことに、市議からは「説明する相手や順番がおかしい」と反発が聞かれる。県議は真意を測りかねる一方、関心も示している。

 市議会では4月以降、ドルフィンポート跡地と住吉町15番街区以外に、市が北ふ頭も候補地として模索しているのではとの見方が浮上している。下鶴市長や当局から明確な説明はないままだ。

 説明会開催に反発する市議の一人は「まずは市議会に説明を尽くし、やるなら県議会ではなく、知事が筋だろう。完全にいびつだ」と批判した。別の市議は「県との連携は必要で共通認識を深める目的なら悪くはない」と理解を示しつつも「なぜ、この時期なのか」と首をかしげる。

 県議も困惑を隠さない。一方で、下鶴市長は鹿児島市・鹿児島郡区の県議を10年務め、気心が知れているのも事実。「スタジアム構想で協力を求めるためか」と興味を示す県議は少なくない。

 説明会開催の情報は県庁内を駆け巡った。塩田康一知事は取材に「県と市が連携して取り組むべき課題なら、執行部同士で相談すべきだ。県に説明がないまま、なぜ県議会なのか」と不快感をにじませた。