「改憲派の方が平和ボケ」 盛り上がる国防議論の一方、かすむ9条…護憲派に危機感
2023/05/26 21:30

防衛力強化を巡り、肯定的に捉える改憲派の集会(右)と、抗議活動をする護憲派(左)のコラージュ
会場は350席が全て埋まり、県選出の与党国会議員らも参加した。講師は国会で憲法審査会が定期的に開かれ、改憲へ議論が進んでいると強調。安倍政権下の2016年に施行された安全保障関連法以降、防衛政策が劇的に深化したと解説した。
県外の改憲派集会にも出かけたという会社員の男性(27)は「建前ではなく、軍事のリアルな課題がよく分かる」と話す。
集会の運営を担う日本会議鹿児島は、憲法や国防を語り合う「憲法カフェ」といった草の根活動を続ける。新型コロナウイルス禍で活動は途切れていたが、高橋辰治事務局長(65)は「改憲機運の高まりを実感した」という。「ウクライナ侵攻をはじめ、現実的な考え方をする人が増えている」
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同じ3日、護憲派2団体は市内でそれぞれ集会を開いた。「憲法を逸脱し、戦争を考える改憲派の方が平和ボケ。平和外交こそが活路だ」。県護憲平和フォーラムの集会で講師は力を込めた。
中国の軍事費は日本の5倍以上に上り、今後も追いつけないと指摘。安保関連法で米軍の戦争への参加が可能になった上、反撃能力の保有で「先制攻撃」してしまう恐れや、鹿児島が攻撃されるリスクも強まっていると批判した。
毎年参加するという教職員の女性(50)は「かなり危ない。止めないといけないのに、活動の広がりは正直感じない」と危機感を隠さない。
護憲団体は、県内各地の防衛計画が動くたびに、首長への要望や抗議活動を地道に続ける。市民団体代表の平井一臣氏(65)は「危機感にあおられ、多くが雰囲気だけで『軍備が必要』と傾いている。国の理念である憲法を変えていいのか。歯止めが利かなくなる」と訴える。
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安保関連法は、米軍などの紛争でも政府の判断で集団的自衛権の行使を可能にした。憲法の解釈変更となり、国を二分するような議論となった。一方、昨年末の安保3文書決定は反撃能力の保有などさらに踏み込んだが、かつてほどの反発はなかった。
第1次安倍政権などで内閣官房副長官補を務めた柳沢協二氏(76)は「戦後、平和憲法と経済成長は結びついていた。その前提がなくなった上、危機が伝えられ、9条を守れば日本は大丈夫との訴えは響きにくくなった」とみる。
その上で「有事は参戦しないと同盟が破綻し、加担しても大戦争という悪夢の状況だ。軍備ではなく、避ける方法こそがまず重要だ。9条が薄まった今、国民が真剣に問わないといけない」と話す。
(連載「転換期の空気 安保激変@かごしま7回目より」)
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