県内児童虐待認定2823件 400件増、11年連続最多更新 実父と実母が88%占める 通告・相談4037件も10年連続

 2023/05/31 21:28
 鹿児島県内の3児相(中央、大隅、大島)と市町村が2022年度に認定した児童虐待件数は、前年度より400件増の2823件で、11年連続過去最多を更新した。通告・相談件数は245件増の4037件で10年連続最も多かった。増加の背景について県中央児相は「児童虐待に対する関心の高さや児相対応ダイヤル『189(いちはやく)』による通告しやすい体制整備が一因」と説明した。

 31日、オンラインであった県の子ども虐待防止ネットワーク会議で報告された。

 3児相が認定したのは2423件。そのうち心理的虐待が1790件(前年度比299件増)で最も多く、全体の74%を占めた。続いて身体的虐待421件(57件増)、ネグレクト197件(44件減)、性的虐待15件(3件減)だった。

 心理的虐待の増加について中央児相は、子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」の通告が警察から増えたことを理由に挙げた。

 主な虐待者は実父(1236件)と実母(905件)で全体の88%に上った。被虐待児は小学生が911件で38%、未就学児が907件で37%だった。障害児への虐待は407件あった。

 3児相に通告・相談された3257件のうち、最多は警察からで2228件。学校(289件)、近隣知人(265件)と続いた。

 会議では、各市町村の要保護児童対策地域協議会(要対協)の状況や被虐待児一時保護の解除条件、新型コロナウイルス禍で浮き彫りになった課題について協議。出水市4歳女児死亡事案の検証報告書に対する取り組み状況も説明し、23年度さつま町に北部児相を新設、児童福祉司、児童心理司を増員したことなどを報告した。