あの説明会は何だった…鹿児島市サッカースタジアム候補地に今度は北ふ頭 「きちんと説明、議論を」

 2023/06/07 17:51
新しい候補地として市が検討を始めた鹿児島本港区北ふ頭=6日午後、鹿児島市本港新町
新しい候補地として市が検討を始めた鹿児島本港区北ふ頭=6日午後、鹿児島市本港新町
 鹿児島市が6日、多機能複合型サッカースタジアムの候補地としていた鹿児島港本港区エリアのドルフィンポート(DP)跡地と住吉町15番街区を除外し、エリア内の北ふ頭を新たな候補地とすることを明らかにした。県内経済界や天文館地区の商業関係者からは、議論の徹底を求める意見や北ふ頭への期待が聞かれた一方、県議からは同市のスタジアム構想の説明のあり方に批判の声も上がった。

 鹿児島商工会議所の岩崎芳太郎会頭はDP跡地、住吉について「現実性はないのに市がこだわった。もう少し合理的に進めるべきだった。中途半端な姿勢を取った県も無責任」と指摘。「どこに造るかの議論に商議所として関わるつもりはない」と突き放した。

 北ふ頭案には「街中のにぎわいを創出したい気持ちは尊重する。ただ造るか造らないかはもう1回、行政機関としてちゃんと議論すべきだ」とくぎを刺した。

 北ふ頭には現在、奄美海運(鹿児島市)の定期船「フェリーきかい」と「フェリーあまみ」が就航中。親会社のマルエーフェリー(奄美市)社長で、県旅客船協会の有村和晃会長は「現在まで鹿児島市から相談や打診はない。(北ふ頭に検討する)経緯も内容も分からず反応しようがない」。

 「北ふ頭もDP跡地と同様、鹿児島湾と桜島の景観が課題となりそうで難しいのでは」と語るのは「We Love 天文館協議会」の牧野繁会長(67)。「中心市街地を盛り上げたい市長の気持ちは分かるが、地元住民の思いとはマッチしていないように感じる。未来の天文館のためにもじっくりと検討してほしい」

 天文館シネマパラダイスなど運営する「天文館」と市商店街連盟の会長を務める有馬勝正さん(80)は「北ふ頭は天文館の仲間うちで適地ではないかと話していた場所の一つ。利便性も良く中心市街地の魅力向上につながる」と期待した。

 県サッカー協会の西原一将会長(47)は「現段階ではコメントしづらい。引き続き中心市街地での整備を要望する立場に変わりはないが、具体的な場所について何か言う立場にない」と話した。

 一方、スタジアム構想について市は、5月26日に県議会鹿児島市・鹿児島郡区選出の議員に市政説明会を開き、理解を求めたばかりだった。出席した議員の一人は「何のための説明会だったのか。ほごにされた感じだ。経緯をきちんと説明してもらいたい」と批判。「市民にはどう説明するのか。責任が問われる」と指摘した。