夏休みの打ち上げ 6年ぶりなのに…「宿がない」 馬毛島基地工事の種子島、キャンプ利用の見学客増 H2Aロケット47号機、28日打ち上げ

 2023/08/26 21:57
キャンプで過ごそうとテントを組み立てる見物客=26日、南種子町の宇宙ケ丘公園
キャンプで過ごそうとテントを組み立てる見物客=26日、南種子町の宇宙ケ丘公園
 H2Aロケット47号機は28日朝、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げられる。夏休み期間中の打ち上げは2017年の35号機以来。西之表市馬毛島の自衛隊基地整備で工事関係者が増えた種子島は慢性的に宿泊施設が不足しており、当日までキャンプで過ごす観光客も少なくない。

 同町が管理する打ち上げ見学場の一つ、宇宙ケ丘公園は25日からキャンプ客が増え始めている。

 「宿もレンタカーも全く空いていなかった」と話すのは、東京から来た大学生岡本沙紀さん(23)。26日に種子島入りし、友人と同公園でキャンプをしながら28日まで滞在する予定だ。「中学生のときからロケットが好き。初めて打ち上げを見るので楽しみ」と、笑顔でテントを組み立てた。

 基地工事に伴い、種子島では作業員向けに仮設住宅の建設が進むものの、効果は限定的だ。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが引き下げられ、久々に行動制限がない夏休みとなったことも宿不足に拍車をかける。種子島観光協会(西之表市)は「帰省客が相当多い。ロケット目当ての問い合わせには『諦めず宿に電話をかけ続けて』と案内していた」という。

 宇宙ケ丘公園のキャンプ利用は町への事前登録が必要。26日は13件20人の予約があった。宮崎市から父親と2人で訪れた嶋田耕太郎君(12)は「打ち上げ見学は4回目。ごう音と体に伝わる振動に感動する。ぜひ成功して」と期待した。

 47号機は28日午前9時26分22秒、小型月面探査機「SLIM(スリム)」とエックス線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」を載せて打ち上げられる。当初予定は26日だったが、悪天候が予想され2度延期した。