学童保育 さまよう待機児童 保護者「転居を考えざるを…」 市は「設置予定なし」 2700人分の署名、請願提出 姶良市蒲生

 2023/09/03 18:03
蒲生地区の児童クラブの拡充などを求めた署名を確認する瀬戸孝介さん(右)と右田奈緒子さん=姶良市蒲生
蒲生地区の児童クラブの拡充などを求めた署名を確認する瀬戸孝介さん(右)と右田奈緒子さん=姶良市蒲生
 鹿児島県姶良市蒲生で、共働きやひとり親世帯などの小学生を預かる放課後児童クラブ(学童保育)の待機児童が増えている。来春には待機は30人以上に上り、一部は2年生から利用できないとする試算もある。危機感を強める保護者は8月下旬、改善を求めて約2700人分の署名とともに市議会に請願を提出。「安心して子育てできる姶良市にしてほしい」と訴える。

 市子どもみらい課によると、市内の児童クラブは26施設あり定員は計963人。いずれも民間が運営する。ただ蒲生は1カ所(定員50人)しかなく、4月時点の待機児童は12人と市全体の6割以上を占めている。

 保護者によると、その後退所者があったが、7月現在で3~6年の7人が利用できない状態が続く。来年入学の1年生の入所数が本年度と同程度だった場合、2~6年の30人以上が待機となる見込みという。

 署名は旧蒲生町の約900人を含む。署名を呼びかけた保護者の瀬戸孝介さん(42)=蒲生町上久徳=と右田奈緒子さん(35)=蒲生町米丸=は「子どもを自宅に1人でいさせて、事故が起きないか不安。安心して出産育児できなければ、他市などへ転居を考えざるを得ない」と語る。子育てしながら働くことに「高い壁を感じる」という。

 請願では施設の拡充・新設や、隣接地域の児童クラブへの送迎手段の確保などの対応を求めている。市は「市が蒲生地区に設置する予定はない」としており、民間による新設を期待する。現施設の拡充も、人材確保などの問題があり難しいという。瀬戸さんらは「子育てを社会全体の問題として考えてほしい」と話した。