涙流しグータッチも…H2Aロケット成功「本当にほっとした」 イプシロン、H3…失敗続き重圧ずしり JAXA関係者ら

 2023/09/07 21:26
H2Aロケット47号機の打ち上げに成功し、記者会見する三菱重工業の徳永健・打ち上げ執行責任者(左端)ら=7日、南種子町の種子島宇宙センター
H2Aロケット47号機の打ち上げに成功し、記者会見する三菱重工業の徳永健・打ち上げ執行責任者(左端)ら=7日、南種子町の種子島宇宙センター
 種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)で7日、打ち上げに成功したH2Aロケット47号機。「安堵(あんど)している」-。失敗が許されない重圧をはね返した関係者は、会見の場で繰り返した。見据えるのは次代を担う「H3」2号機。「H2Aに背中を押された」と成功のバトンをつなぐ決意を示した。

 3度の打ち上げ延期を経て迎えた7日午前8時42分。点火された47号機は「バリバリ」とごう音を響かせ、力強く青空を上昇した。

 プレスセンターでは、三菱重工業や宇宙航空研究開発機構(JAXA)の関係者約10人がモニターを見つめた。祈るように両手を握る職員。約48分後、成功が伝えられると「おめでとう」「良かった」と涙ながらにグータッチを交わした。

 この1年「イプシロン」6号機、「H3」1号機が相次いで失敗。7月には「イプシロンS」の2段モーター燃焼試験中に爆発が起き、国産ロケットへの逆風に拍車を掛けた。

 「日本の宇宙開発をリードしてきた」(JAXA幹部)H2Aの果たす責任は、日に日に強まった。それでも関係者は「しっかりと対策を施している」と声をそろえた。

 「本当にほっとしている」。打ち上げ後の会見に臨んだ三菱重工業の徳永建・打ち上げ執行責任者はいつも以上にはっきりとした口調で語り、「H3失敗後の初の打ち上げ。緊張感、プレッシャーを感じながらの作業だった」と明かした。

 報道陣からは重圧への対処に関する質問も飛び、「一つ一つの作業を確実に行えば大丈夫とコミュニケーションを取りながらやってきた」と振り返った。

 今回の成功の意義について、同社の江口雅之執行役員は「H3のリカバリーを前向きに進める決意が沸く打ち上げだった」と強調した。