南北20キロある鹿児島港だが…ほぼ「釣り禁止」区域 釣り人の事故・トラブル絶えず仕方ない…のか?

 2023/09/19 12:02
立ち入り禁止の看板がありつつも、上に上がるためのはしごがかけられている堤防=鹿児島市鴨池新町の鴨池港フェリーターミナル
立ち入り禁止の看板がありつつも、上に上がるためのはしごがかけられている堤防=鹿児島市鴨池新町の鴨池港フェリーターミナル
 南北約20キロの鹿児島港がある鹿児島市は、釣り人にとって魅力の地だ。しかし船釣りを除けば、港周辺で自由に海釣りできる場所は鴨池、桜島の二つの海づり公園に限られ、太公望が腕を振るえる場所はそう多くない。港湾施設を管理する県、市が、安全対策や漁業者とのトラブル防止を目的に立ち入りを禁止しているためだ。

 7月中旬、名古屋市から旅行で訪れた長谷川成基さん(25)は釣りができる場所を探したが見つからず、結局、与次郎2丁目の鴨池海づり公園で糸を垂らした。「楽しみにしてきたが、釣り禁止の場所が想像以上に多くて驚いた」と話した。

 鹿児島港をはじめ、県内の岸壁の多くは立ち入りが禁止されている。それにも関わらず、県内では釣り人が関わる事故、トラブルが絶えない状況だ。

 2021年7月には志布志市の沖堤防で釣りをしていた男性が海に落ちて死亡した。桜島の避難港ではロープや係留中の漁船に釣り糸が絡まり、釣り人が無断で漁船に立ち入ったこともあった。釣り糸や容器などの放置のほか、夜間に大声で騒いだり花火をしたりと住民の迷惑になっているケースもある。

 県内の港湾を管理する県港湾空港課の担当者は「港湾区域は一般市民の利用を想定していない」と説明。桜島の避難港を管理する市河川港湾課も「地元住民や漁師の被害を考えると、規制はやむを得ない」とする。

 鹿児島と同様に釣り人の無断立ち入りや船舶とのトラブルが問題となっている新潟県では、NPO法人が県の許可を得て、港湾施設の一部を有料で釣り人に開放している事例がある。

 同法人は、ホームページ上に救命胴衣の着用やごみ持ち帰り徹底などのルールを明示し、職員が巡回し安全管理を行う。船が来た際は仕掛けを引き上げるようにルールも定めた。

 同県港湾整備課は「安全確保と港湾機能維持が担保されれば、今後も開放エリアを広げることも考えている」と釣り人との共存を模索する。

 海のレジャーと安全・環境対策。両者が共存できる日は来るのだろうか。

 鹿児島市桜島藤野町の藤野避難港でメジナ釣りをしていた都城市の男性は「立ち入り禁止となった背景には、ルールを無視する釣り人の存在がある」と認めつつ「鹿児島の海でもっと釣りを楽しんでもらうためには、行政の柔軟な対応があっていい」と訴えた。一方で、鴨池海づり公園の笹尾勝幸施設長は「事故防止や有事の際の責任問題を考えると、立ち入り禁止も仕方ないのでは」と、現状の難しさを語った。