飲酒運転摘発が増加傾向 7月までに200件、過去5年で2番目の多さ…背景にあるのは? 鹿児島

 2023/09/20 11:50
飲酒運転が疑われる死亡事故現場を確認する鹿児島中央警察署員ら=8月23日、鹿児島市天保山町
飲酒運転が疑われる死亡事故現場を確認する鹿児島中央警察署員ら=8月23日、鹿児島市天保山町
 「秋の全国交通安全運動」が21~30日、全国各地で実施され、飲酒運転の根絶が重点項目の一つに掲げられる。鹿児島県内の2023年の飲酒運転摘発件数は7月末で200件(前年同期比39件増)と過去5年で2番目に多い。新型コロナウイルスの感染対策緩和に伴い飲酒機会が増えるとみられ、県警は「重大な事故に直結する。飲酒運転を許さない機運を高めよう」と呼びかける。

 県警によると、今年の飲酒がらみの人身事故は7月末で18件、死亡事故も1件発生した。

 7月22日午前3時35分ごろ、鹿児島市天保山町の国道225号で50代男性会社員の乗用車が前方で信号待ちをしていたトラックに追突、男性が死亡した。鹿児島中央署によると、体内に事故による損傷があり、アルコール成分も検出された。飲酒運転(道交法違反)を視野に捜査している。

 同署は8月下旬、この事故の現場診断を実施。付近では20年~23年7月末までに追突による人身事故4件、物損事故10件が発生したと報告し、地域住民や関係機関と道路状況を確認した。死亡した男性運転手がシートベルト不着用だったことに触れ、県警交通企画課は「基本的なルールを守っていれば命が助かることも多い」と指摘した。

 県警交通統計によると、飲酒がらみの県内の人身事故は17~21年に250件。死者13人、負傷者は303人に上る。過失の最も重い「第1当事者」と次に重い「第2当事者」の飲酒場所で最も多いのは自宅で83人。居酒屋50人、バー・スナック41人が続く。飲酒理由は晩酌が80人で最多。その他の付き合いが51人、職場の付き合いは19人だった。

 県警交通指導課の鮫島勝志理事官は「一義的には飲酒運転をした人の責任だが、同乗者やお酒を勧めた人、車を貸した人も罪に問われる可能性がある。社会全体で飲酒運転を許さない機運を高めていきたい」と話した。