米軍無人偵察機MQ9「1年の約束どうなる…?」 オーバーラン後1カ月運用停止 地元から懸念の声 海自鹿屋基地
2023/09/22 07:32

駐機場に止まる米空軍無人機MQ9=14日午後1時45分ごろ、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地
オーバーランは8月22日午前11時ごろ発生。1機が着陸時に滑走路を逸脱し、地上設備に接触した。浜田氏は9月5日の会見で、展開期間の延長を巡り「現時点では答えられない。米側との調整になる」と述べた。
MQ9は海洋進出を強める中国軍を警戒、監視するとして昨年11月から8機が鹿屋基地に展開。日米合同委員会は同基地を使う期間を「運用開始から1年間」とし、九州防衛局は鹿屋市との協定で「期間延長は行わない」と明記している。
浜田氏の発言について、中西茂市長は取材に「正直唐突感はあった」と明かし、「1年間での終了が前提。事故原因の情報は一切なく、早急に再発防止策を示してほしい」と求める。
市民からも疑問の声が相次ぐ。鹿屋基地後援会の久永兼愛さん(83)=同市花岡町=は「運用終了まで残り2カ月で、今から変わることがあるのだろうか。新しい大臣は正しいことを発信してほしい」。市商店街連合会長の前田数郎さん(65)=同市大手町=は「政府は筋の通る説明をすべきだ」と訴える。
防衛省は「期間の変更は考えていない」としつつ、1カ月に及ぶ運用停止で「情報収集に穴ができている状況。米軍から途中経過の報告はない」と説明する。
停止が長引く理由について、海自自衛艦隊司令官を務めた元海将の香田洋二氏は「無人機は最新の情報収集機器を搭載し、非常に精密。細部のチェックに時間がかかる」と解説する。
琉球大の山本章子准教授(国際政治史)は「昨年から今年にかけて世界中でMQ9の訓練中の事故が起き、安全のための一斉点検が必要なようだ」と指摘。
その上で「米軍は軍事衛星やレーダー、潜水艦でも中国の情報を収集している。運用停止でただちに日米の情報収集体制に影響が出るとはいえない」と分析した。
■「安全対策の説明を」
海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋市)で米軍無人偵察機MQ9が滑走路を外れた事故から22日で1カ月がたつことを受け、「鹿屋に米軍はいらない大隅住民の会」(眞島幸則代表)は21日、安全対策などを説明するよう求める要請書を、中西茂市長宛てに提出した。
要請文は「事故原因と今後の対策を示せ」「1年限りという運用期間は守られるのか」などと記した上で「情報が分かり次第提供を」と求めた。受け取った市職員は「防衛省側に確認中」「延長の話はない」などとその場で回答した。
同会の道下勝さん(74)は「いまだ何の情報も示されていないのは信じられない。市は米軍や防衛省への働きかけを強め、緊張感を持って対応してほしい」と訴えた。
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