南の島 貴重な水田地帯には450年続く豊作祈願の祭りがある。山と海への感謝。太鼓をたたいて踊り、海のかなたから稲魂を手招くのだ。

 2023/09/26 08:27
「ヨラ、メラ」と声をかけ、ショチョガマを揺らす男性ら=25日午前6時20分、龍郷町秋名
「ヨラ、メラ」と声をかけ、ショチョガマを揺らす男性ら=25日午前6時20分、龍郷町秋名
 鹿児島県奄美大島で数少ない水田地帯の龍郷町秋名で25日、山と海に五穀豊穣(ほうじょう)を祈る「ショチョガマ」と「平瀬マンカイ」があった。旧暦8月最初の丙(ひのえ)のアラセツ(新節)行事で、約450年続くとされる国指定の重要無形民俗文化財。島内外から多くの見物客が訪れた。

 ショチョガマは新型コロナ禍で4年ぶりの開催。夜明け前、集落を望む山腹で始まった。稲わらをふいた片屋根小屋(ショチョガマ)に男衆約120人が上り、チヂン(太鼓)と「ヨラ、メラ」のかけ声に合わせ左右に踏み締め、小屋を倒した。収穫に感謝し、豊作を願う踊りを披露した。

 平瀬マンカイは夕方、集落西の海岸であった。ノロ(女性神職)役の白装束女性5人と男神・女神役の男女7人が、「神平瀬」「女童(めらべ)平瀬」と呼ばれる二つの岩に上り向き合った。交互に歌って踊り、海のかなたから稲魂を手招くしぐさ(マンカイ)を繰り返した。

 秋名アラセツ行事保存会長の窪田圭喜さん(82)は「ショチョガマは久しぶりで活気があった。今後も(伝統を)守り続けるのは責務」と語った。