家電リサイクル料惜しさ? 不法投棄 5年前の2倍 コロナ巣ごもりで買い替え増か、地デジ移行後の水準に 鹿児島市内

 2023/09/29 11:47
不法投棄された家電などの家庭ごみ=2022年6月、鹿児島市(市提供)
不法投棄された家電などの家庭ごみ=2022年6月、鹿児島市(市提供)
 鹿児島市内で、粗大ごみや生活ごみの不法投棄が増えている。2022年度に市が把握した件数は299件で、5年前の約2倍となっている。多くが家庭ごみとみられ、特に目立つのが家電だ。市は、新型コロナウイルスによる巣ごもり需要でテレビやエアコンの買い替えが進んだ影響があるとみており、「不法投棄は犯罪行為。環境保全のためにも絶対にやめて」と呼びかけている。

 不法投棄が多いのは人目に付かない山間部の道路脇。市の監視指導員6人が交代で年末年始を除く一年中パトロールをしているが、なくならないのが現状だ。

 09年度以降、最も多かったのが10年度の389件。市によると、11年7月の地上デジタル放送移行に向けてテレビの買い替えが進んだ影響とみられる。

 その後は減少傾向となり17年度は149件となったが、コロナの感染拡大後は右肩上がりとなっている。中でも家電の不法投棄は20年度98件、21年度115件、22年度124件と特に増えている。

 不法投棄物は投棄者が分からない場合は原則、ごみを捨てられた土地所有者、管理者が撤去することになる。一方で、土地所有者不明や続けてごみを捨てる人が出ないための再発防止策として市や住民らが撤去することもあり、22年度は299件の不法投棄のうち169件がその対象となった。家電のリサイクル料を市が負担するケースもある。

 不法投棄した個人は5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、または両方が科される。市廃棄物指導課の冨谷哲也課長は「市民への意識啓発に力を入れるとともに、警察とも連携しながら不法投棄の減少に努めていきたい」と話している。