米軍無人偵察機MQ9、オーバーランの原因明かさず運用再開へ 防衛省幹部が鹿屋市に伝達

 2023/09/30 07:15
駐機場に止まる米空軍無人機MQ9=9月7日、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地
駐機場に止まる米空軍無人機MQ9=9月7日、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地
 海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)で米軍無人偵察機MQ9が滑走路を外れたオーバーランを巡り、防衛省幹部が29日、市役所と県庁を訪れ、停止中のMQ9の運用を米軍が30日以降に再開する方針を伝えた。事故の詳細や原因は米軍の情報保全などを理由に明かさなかった。11月20日までの1年間としている運用期間については、延長はないことを米側に確認したという。

 オーバーランは8月22日午前11時ごろ発生。1機が着陸時に滑走路を逸脱し、地上設備に接触した。米軍は鹿屋基地に配備する全8機の飛行を停止。防衛省によると、逸脱した機体は今後米国に輸送され、当面7機で運用する見通し。運用再開時は同省が公表する。

 市と県を訪れたのは九州防衛局の江原康雄局長ら3人。市役所で応対した中西茂市長らに対し、米軍は安全調査委員会を招集し、機体やコントロールシステム、地上管制を調べたと説明。機体やシステムに問題がないことを確認し、着陸の操作手順の調整や追加訓練をしたことも報告した。

 江原局長らは「米軍は想定されうる全ての事故原因の再発防止策を講じた」として、「米軍の対応は適切」と評価。事故原因については「米軍の保全に関わるため非公表」とした。

 中西市長は面会で「(米軍の対応を)適切という結論を出すには、事故原因まで踏み込まないと」と疑問を呈した。終了後、報道陣の取材に「われわれに特別の知見はなく、防衛省の判断を受け止めざるを得ない」と話した。

 日米は昨年11月、海洋進出を強める中国軍を監視・偵察する目的で、MQ9の一時展開を開始。米兵ら約150~200人が駐留している。