敵地にサポーター300人集結…敗戦後、指揮官は駆け寄った「俺ら諦めてないので…もう一度、後押しをください」 J3鹿児島ユナイテッドFC、26日ホーム最終戦

 2023/11/20 08:30
後半、ドリブルで敵陣に攻め込む鹿児島Uの端戸=今治里山スタジアム
後半、ドリブルで敵陣に攻め込む鹿児島Uの端戸=今治里山スタジアム
 明治安田J3第36節は19日、各地で7試合があった。鹿児島ユナイテッドFC(鹿児島U)は、愛媛県の今治里山スタジアムで今治に1-2と逆転負けし、2連敗を喫した。通算成績は17勝7分け12敗で勝ち点58と変わらず。3位の富山が八戸に0-1で敗れたため、鹿児島Uは昇格圏の2位をキープした。

 鹿児島Uの次戦は26日、鹿児島市の白波スタジアムでホーム最終戦がある。富山が引き分けか負けた場合、鹿児島Uが沼津に勝てばJ2昇格が決まる。

 【評】鹿児島Uは先制点を奪ったが逆転負けした。前半9分、相手のパスミスをきっかけに、端戸がファーストチャンスをものにして1-0。後半は押し込まれる時間が多く、18分にクロスから失点し、35分に2点目を許した。シュートは7本にとどまった。15本のシュートを放った今治は連敗を3で止めた。

◇富山も連敗、首の皮一枚の昇格圏

 「ゴールに圧をかけ続ける」というゲームプランには遠く及ばなかった。鹿児島Uは、昇格を懸けた大事な一戦で痛恨の逆転負け。前節に続く敗戦に、愛媛県まで駆けつけた約300人のサポーターは、ため息をついた。

 ファーストチャンスをものにした端戸の先制点は見事だった。守備陣の体を張ったプレーも光り、前半を1-0で折り返す。負ければ昇格の可能性がなくなる今治は、後半も死に物狂いでゴールを狙う。外国籍選手の個を生かしたプレーに手を焼き、鹿児島Uは自陣にくぎ付け。交代カードを早めに切る相手とは対照的に、対応が後手に回ってしまった。

 昇格圏の2位を保っているとはいえ、重圧はのしかかる。ベテランの端戸ですら、経験したことのない緊張を感じたという。「ボールを受けることを怖がることがちょっとでも出ると、全体にまん延してしまう」とチームの調子は狂い気味。「改めて『自分たちは弱いんだ』と実感した」と悔しそうな表情を浮かべた。

 直近3試合で得た勝ち点はわずか1。終盤戦に失速し、昇格を逃した昨季の姿と重なる。ただ、今季は3位富山も連敗し、鹿児島Uは昇格圏から落ちずに首の皮一枚でつながっている状態だ。

 試合後、大島康明監督は珍しくサポーターに駆け寄って呼びかけた。「俺ら諦めてないので、もう一度みなさんの後押しをください」。温かく見守るサポーターの力を借り、2連勝するしかない。