めでタイはずなのに…祝い事自粛で価格急落 新型コロナ感染拡大響く

(2020/04/22 13:00)
競り場に並ぶ天然マダイを目利きする仲卸業者ら=鹿児島市城南町(魚類市場提供)
 鹿児島市中央卸売市場魚類市場(城南町)で、今が旬のマダイに異変が起きている。卸値が例年の半値以下と急落し、市場関係者は頭を抱える状況だ。背景を探ると、新型コロナウイルス感染症の影響が巡り巡って及んでいた。
 この時季のマダイは、産卵期を迎えた雌の体色がピンクに変わることから「桜鯛」と呼ばれ、脂ものっておいしい。旬が門出の季節と重なるため、縁起物としても人気が高い。
 16日、魚類市場には近海で捕れた約3トンの天然マダイが水揚げされた。豊漁なのに仲卸業者らの表情はさえない。例年は1キロ1500~2000円以上で推移するが、この日の最高値は1100円で、最低は500円。山実水産の山口憲一郎社長は「就職や進学など門出を祝う行事が自粛され、スーパー以外に需要がない」と明かす。
 とりわけ結婚式場との取引がなくなったダメージが大きい。実際、鹿児島市内の施設では結婚式の中止や延期が相次ぐ。
 城山ホテル鹿児島(新照院町)は3月以降、130組が取り消された。うち3組は中止、残り127組が7月以降に延期する。東清三郎社長は「結婚式は裾野が広い。食品だけでなく、花や引き出物、写真、美容にも影響が出る」と地域経済の悪化を懸念する。
 貸衣装業の丸屋ブライダル(呉服町)は4、5月に入っていた予約の8割超が延期された。「人を集めることが悪のような空気になっている」。柳田由美社長は現在の状況を嘆きつつ、終息後に備え社員研修に力を注ぐ。
 マダイの水揚げ量は例年と変わらない。需要が落ち込み、鮮魚で出荷されるのは1割程度まで減っているという。「漁師との信頼関係を維持するためにも、買わないわけにはいかない」と山口社長。出荷しなかった分は真空パックに詰め、急速冷凍して保管している。1年程度保存が効き、刺し身で食べられるほどの鮮度を保てる。
 マダイは刺し身はもちろん、煮ても焼いてもおいしく、骨からだしも取れ、「捨てるところがない魚」と言われる。市場関係者は「新型コロナが早く終息し、再び桜鯛が『花開く』よう期待したい」と願う。