〈終戦75年〉 26歳の第75振武隊長、覚悟の遺書 従軍前、父宛て「死奈(な)め顧(かえりみ)ハせじ」 加世田・万世特攻平和祈念館

(2020/08/06 20:00)
大岩覚少佐の遺書=南さつま市の万世特攻平和祈念館
大岩覚少佐の遺書=南さつま市の万世特攻平和祈念館
 太平洋戦争中、陸軍万世航空基地があった南さつま市加世田高橋の万世特攻平和祈念館は、戦後75年にちなみ、同基地を飛び立った第75振武隊の遺品を展示している。隊長の大岩覚(さとる)少佐=当時(26)=の遺品は初公開。従軍前に書いた遺書があり、若い命に決死の覚悟を迫った戦争の不条理を静かに伝えている。

 同館によると、振武隊として編成された432隊のうち、同基地からは1945(昭和20)年4月6日~6月19日まで14隊が出撃し、計201人が帰らぬ人となった。

 第75隊は4月7~16日、10人の戦死の記録が残るが、これまで大岩少佐の遺品だけ所在を確認できなかった。出身地の滋賀県の陸上自衛隊が保管していることが分かり、借り受けた。

 父親に宛てた遺書は陸軍士官学校卒業の44年9月15日付。学校で身に付けた知識を生かし従軍する意志を表明する一方で、「大君の為古(ためこ)そ死奈(しな)め顧(かえりみ)ハせじ」(大君のためにこそ死のう。後ろを振り返ることはしない)と、特攻を予感したかのように強い決意で死地へ赴く心境をしたためている。

 同館の小屋敷茂さん(72)は「学校を出たばかりの未来ある若者が死を考えるのは無念だっただろう。75年の節目に、そんな非情な時代を振り返り平和の尊さを感じてほしい」と話す。少佐の遺影や航空眼鏡、杯、隊員の遺書や血書など12点を公開している。8月22日まで。