時計 2021/01/12 20:00

湿板写真で吹上浜撮影 写真家菅原さん、19世紀の技法で 日吉

湿板写真を撮影する菅原一剛さん(左)=日置市日吉
湿板写真を撮影する菅原一剛さん(左)=日置市日吉
 日置市日吉の吹上浜から望む東シナ海を、東京都在住の写真家菅原一剛さん(60)が、19世紀に開発された湿板写真の技法で撮影した。19世紀中頃にフランスで製造されたレンズを使用。25.4センチ四方のガラス板に、さざ波が立つ海面や水平線が写し出された。

 場所は同市日吉町神之川の小正醸造嘉之助蒸溜所の近く。2017年開業した同蒸溜所で今年初めてシングルモルトウイスキーが完成するのを控えて、同社が撮影を依頼。2020年11月30日~12月1日、6人がかりで取り組んだ。

 海岸にテントで臨時の暗室を設置。感光液を浸したガラス板を、海岸に据え付けたカメラまで運んでセットした。レンズのふたをゆっくり外して4~30秒程度露出、すぐに暗室に戻して現像した。日の出から日没まで同じ作業を繰り返し、2日間で約40カット撮影した。

 菅原さんは「時間をかけて造るウイスキーと湿板写真は相通じるものを感じる。東シナ海の独特な色合いや光のきらめきをとらえられた」と話した。

 吹上浜は小正醸造の2代目・嘉之助さんが愛した場所。撮影を依頼した孫に当たる小正芳嗣社長(42)は「昔から変わらぬ風景を、古典的な撮影技法で残してもらえることに重みを感じた。蒸留所で展示したりして、多くの人に見てもらいたい」としている。
日置市日吉の吹上浜から撮影した東シナ海の湿板写真(菅原一剛さん提供)