2021/11/23 本紙掲載 

「新聞」感想文コンクール

第21回「新聞」感想文コンクール(南日本新聞社、南日本新聞南日会主催)に、鹿児島県内の小中高校から1418点の作品が寄せられた。ハンセン病、戦争、環境問題…。出合った身近な記事を契機に、疑問を徹底的に調べ、思考を深め、行動につなげていく力作が目立った。南日会特別賞を受賞した3作を含む小中高7部門の1席を紹介する。

審査総評

行動が説得力を高める

県教委義務教育課 峯元 済年氏

21回目を迎えた「新聞」感想文コンクールには、県内の小中高合わせて129校から1418点もの作品の応募がありました。どの作品も新聞記事を通して興味・関心を抱いたことについて、自分の考えを工夫しながらまとめていました。
 優秀な作品が多い審査会では、審査員同士で議論が伯仲する(熱を帯びる)場面があります。今回もまさにそのような審査会でした。そんな甲乙付けがたい作品を評価する際に私が判断基準の一つに置いているのが「どちらがより説得力があるか」です。
 説得力を高める方法はさまざまあると思いますが、よく使われているのは、新聞記事から課題を発見し、さらに追究するために多様な手段を用いて情報を集め、文章にまとめる方法です。優秀作品の中には「服育」の記事から各国のオリンピック選手団の服装の特徴や意味を調べた上で、アパレル業界の人権・環境問題まで踏み込んでまとめた作品がありました。自分で追究した内容も含めた情報量の豊富さが読者に説得力をもたらします。
 また、追究して得た情報を表現するだけではなく、相反する考えについても触れることで、自分の主張をさらに強める方法もあります。優秀作品の中では、「情報のデジタル化」に関する作品に、この表現方法が見られます。社会現象は必ず複数の側面をもちます。一つの現象を多面的・多角的に捉えた意見をしっかり表現している文章から、確かな説得力を感じます。
 新聞記事をきっかけとして、新たに行動を起こし、その結果や感想を述べている文章からも強い説得力を感じます。優秀作品の中では、家族での海岸のごみ拾いの体験を紹介する作品が該当します。実体験を伴う内容や表現は、読者を追体験した気持ちにさせることから、共感的に受け止められやすく、説得力の高いものとなります。
 記事の内容を追究して調べてみること、自分と相反する主張を取り入れること、記事をきっかけに新たな行動を起こすこと。説得力のある主張には、社会をよりよく変化させる力があります。新聞記事がもたらすものは一つの情報です。そして、読者が一つ一つの情報から何を考え、どう行動するかが社会のありようを決めていきます。その点で、「新聞」感想文コンクールに応募するという1418人の行動そのものもまた、よりよい社会づくりにとって価値あるものだと考えます。
 さて、あなたは今日、新聞を読み、何を考え、どのような行動を起こしますか。