2019/11/17 本紙掲載 
【南日会特別賞】 中学1年の部1席

私の心のバリアフリー

城西中1年 久津輪 夏菜さん

 「進まぬ議会のバリアフリー。」この見出しが目に飛び込んできた。そこには、車いすの重度障害者の議員がマイクに向かっている写真があった。私には、「議会」「バリアフリー」「車いす」「議員」が全然結び付かなかった。しかし、この記事を読んで、障害のある人が鹿児島県の議員になったということを初めて知った。また、県内市町村議会のバリアフリー対応についての表も掲載されていた。ちなみに鹿児島市も鹿児島県も議場の段差無し、エレベーター有り、身障者トイレ有り。にもかかわらず、議場の改修をしているということが気になった。なぜ、バリアフリー対応なのに改修しているのか。そこで、鹿児島県庁に電話で聞いてみた。すると、議会の椅子は固定式で車いすが入らない。だから、車いすが入るように、取り外していること。車いすではマイクに届かないので、床に昇降機を付ける改修をしたということも分かった。つまり、議会を傍聴する人のためのバリアフリーは充実しているが、障害者が議員として実際に「働く」ということに対しては、想定外の出来事だったので、バリアフリーになっていなかったのかも知れないと感じた。
 私は実際に、障害者を取り巻く環境を調べることにした。対象は、鹿児島市内のいくつかの店舗や公共施設。質問することは二つ。「店舗のバリアフリーや障害者への対応。」と「障害者が働いているか。」だ。
 まず店舗A。視覚障害者には、専門の人が対応したり、一緒に買い物したりする。身体障害者には、介助士がサービスをしたり、案内をしたりするそうだ。館内の設備も整っていて、障害者への工夫がたくさんあることが分かる。しかし、障害のある人は働いていないらしい。
 次に、銀行B。連絡があれば、迎えに行くこともある。点字、イヤホンで案内をする。しかし、ここにも障害のある人は働いていないそうだ。仕事の内容も関係するが、働いている場所を見ると車いすなどが通るスペースはなさそうだった。
 店舗C・Dなども、車いすの貸し出し、エレベーターまで案内。また、身障者用のトイレの設置があった。しかし受付の人の話だと、障害がある人が働いているかの把握はできていないということだった。
 たった数店への取材だったが、障害がある客のためにはバリアフリーが進んでいるが、障害がある人が「働く」ということは、ハードルが高いということを感じた。
 ところが、障害者が働いている店があるということを発見した。その店は知的障害者、精神障害者の人が働いている。働きやすくなるような工夫がされており、それぞれの得意不得意や症状に合わせて仕事を分けているそうだ。就労継続支援B型といい、一般就労に向けて働く場所があることを初めて知った。
 いくつかの取材を通して、障害者が働くためにはなんらかの支援が必要だということが分かった。しかし、本当に大事なのは、障害者=何も出来ない、という私たち健常者の意識を変えることではないだろうか。町や施設はバリアフリーが進んでいるが、私たちの心はバリアフリーにはなっていないことが多いからだ。
 これまでの私は、買い物に行って、車いすの人がレジをしていたら、びっくりしていただろう。でも、これからの私は、障害者が働いていても、きっと当たり前だと思うだろう。この記事をきっかけに、私の心にあった障害者に対するバリアが少しとけた気がした。

中学2年の部1席

バレエで認知症予防

桜丘中2年 加覧 里奈さん

 「認知症予防にバレエの動き」。何気なく新聞をみていた私の目に、「バレエ」の文字が飛び込んできた。四歳からバレエを習い、今では私の生活の一部となっているバレエ。たまに新聞で「バレエ」の文字を見つけると、その記事についくぎ付けになる。記事を読み進めていくと、バレエの意外な可能性にとても驚いた。
 小学校中学年くらいまでの私は、素敵な音楽に合わせて優雅に踊ることが大好きでレッスンを続けていた。しかし、年齢が上がるにつれ、先生が教えて下さる一つ一つの動きには、体の筋肉や骨と密接な関わりがあるということにとても興味を持つようになった。バレエには姿勢が良くなる、体幹が強くなる、所作が美しくなるなどの様々なメリットがある。この記事によると、認知症予防に有酸素運動が有効であり、海外の研究ではバレエの動きを取り入れた運動により、脳の記憶をつかさどる部分の容積が増えた、との報告もあるそうだ。私はこのことを知って、高齢化社会が進む日本で問題になっている「認知症」について調べることにした。
 認知症は、高齢になるにしたがって発症リスクが高まると言われている。経済協力開発機構によると、日本の有病率は、先進国三十五ヶ国中二・三三パーセントで最も高い数値を示しているそうだ。認知症になると、認識力や記憶力・判断力といった社会生活に欠かせない能力が衰え、生活に支障をきたす状態になるという。最近、高齢者ドライバーによる大変痛ましい事故が多発しているが、その中でも認知機能に問題のあるドライバーが多いそうだ。もし自分の祖父母が認知症になり、運転で人を傷つけるようなことを起こしてしまったらと、想像しただけで大変恐ろしく思えた。このように、社会問題にもなっている認知症は、超高齢化社会の進行とともに増え続け、二〇二〇年の時点で約六〇〇万人になることが予想されているそうだ。しかし現在のところ、認知症を根本的に治す治療法はなく、早い時期からの予防が大事だという。
 これらのことから、認知症患者が少しでも減るように、自分が幼い頃から習ってきたバレエの動きがたくさんの高齢者にも広まってほしいと強く思った。そこで私は、お盆で帰省した際に、八十二歳の祖母に、まずバレエのビデオを見せてみた。これまでは、祖母はバレエなんて興味ないだろうと勝手に思い込み、ビデオもほとんど見せたことがなかったが、祖母は優雅なクラシックの音楽を心地良さそうに聴き、踊りにも見入っていた。ビデオを見せた後、今度はバレエの動きを教えてみた。笑いながら楽しそうに見よう見まねでバレエの動きをする祖母が、
「この動きで認知症の予防ができるのねえ。もっと教えてね。」
と汗をぬぐいながら言ってくれた。
 この祖母とのバレエを通しての関わりから、私の心に一つ、ある目標ができた。その目標とは、大好きなバレエをたくさんの高齢者に広めて、認知症予防をしてもらうことだ。若い頃に大変な苦労をして今の平和な日本をつくって下さった高齢の方々が、一日でも長く心身共に健康で元気に過ごせるように、自分のできることで社会に貢献していきたい。そしていつか、多くの人にバレエの魅力を伝え、健康になってもらえるような活動ができるように、これからもバレエと真摯に向き合い、レッスンに励みたいと思う。

中学3年の部1席

世界遺産登録の裏側で

朝日中3年 上野 凛さん

 「世界自然遺産登録」。近年、よく耳にする言葉になった。この記事を読んで一番印象に残ったのは、環境利用について書かれた文章だ。
「世界遺産になると、今まで経験がないくらい人が増える。」
 確かにそうだと思う。ここには、重要なエリアは厳しい定員を設け、ガイドを付けてコントロールすべきだと書かれていた。
 奄美が世界自然遺産になろうとしていることについて、父と話したときにこんな話を聞いた。
 父は、私の家の近くにある山を車で通行していた。そこで、木にバナナの入ったトラップを仕掛けている男性がいたそうだ。何をしているのか気になった父は、
「何をしているんですか。」
とたずねた。すると、その男性は
「クワガタを捕るためのトラップを仕掛けています。」
と答えた。
 その男性は、奄美の方ではなく、観光客だったようだ。奄美群島が国立公園に指定され、入ってもいいが植物や動物に触れてはいけない場所に指定されている区域もある。その後調べると、男性を見た場所はその区域ではなかったそうだ。しかし、トラップを仕掛けるには許可が必要だと聞いた。
「国立公園に指定されて、動物を持ち出してはいけない区域もあるので、持ち出さないようにお願いします。」
と声をかけ、その場を立ち去って、その日の夜にもう一度その場所を見に行った。
 そこには、十三のトラップが仕掛けられていたそうだ。
 このようなことを防ぐために奄美に住む私たちができるのは、そのトラップを回収することだと教えてくれた。トラップに掛かった動物を捕ってしまえば現行犯となるが、トラップに掛かっているだけでは問題はない。しかし、トラップを仕掛けること自体、許可を取らなければならないことだ。
 世界遺産に登録されることで、観光客が増え、奄美は活性化していくだろう。しかしその一方で、未来に残していくべき奄美の自然を崩してしまっては元も子もないのではないか。
 私は、中学一年生の時に奄美環境調査隊として沖縄・慶良間諸島の視察に行った。沖縄の隊員との交流と視察を通して、たくさんの意見を聞き、考えを深めることができた。その時に、考えたことがある。それは、世界自然遺産になって観光客が増えて奄美が今の奄美でなくなるのなら、世界遺産にならないほうがいいのではないか、ということだ。今になって、世界遺産になれば、観光客が増えることで経済的にも奄美が活性化していくという良い面を見つけることができたが、良い面ばかりではないと思っているのは、二年前と変わらない。
 「世界自然遺産登録」。この言葉の裏側でどんな良い面があってどんな改善しなければならない面があるのか、奄美に住む私たちだけではなく奄美に来てくれる観光客の方にも考えてもらわなければならないと思う。
 奄美に生まれて、奄美で育って、私はこの奄美が大好きになった。奄美に生まれて、奄美で育ったことを誇りに思いたいと思うようになった。大人になって奄美に帰ってきたとき、今の奄美が変わってしまっていたら悲しく、寂しくなると思う。
 未来の奄美が、変わらずきれいな海とたくさんの動物に囲まれた島でありますように。
 これから、自分に何ができるのか、世界遺産登録について良い面・改善すべき面の自分なりの答えを探していきたいと思う。