農業・医療・建設3団体 組織票の行方 混沌
(2020-06-25)

鹿児島県知事選で現職を推薦する自民党県連の大会で万歳する支持団体関係者ら=6月20日、鹿児島市
保守系立候補予定者の支持層に激震が走ったのが、自民の野村哲郎参院議員が党県連の選挙対策委員長を降りたこと。野村氏は「全く他意はない」と退任理由を説明するが、周辺からは「現職への不満があったのでは」との声が上がる。
野村氏は農協組織を束ねてきたJA県中央会出身。農家や職員ら約3万8000人でつくる県農民政治連盟に大きな影響力を持つ。関係者は「選対委員長を降りることで、現職以外を支援するハードルが下がった」と明かす。
中央会の元幹部が、立候補予定の元職陣営に就くなど連携にほころびもみられる。あるJA幹部は「現職の推薦を巡って自民党県議団に賛否あり、足並みが乱れたことが波及している」と話す。
県医師会(約4000人)の政治団体である県医師連盟も決して一枚岩ではない。前回推薦した元職や、保守系の新人を推す医師が一定程度いる。医師会はラ・サール学園の出身者が多く、元職や保守系新人はともにラ・サール卒。年齢が1回り以上離れており、世代ごとに支持層が分かれる傾向があるという。
現役の中堅医師は「知事選に盛り上がりを感じない。新型コロナウイルス対策で存在感を発揮した大阪府知事のような候補者が出てほしい」と嘆く。
県内大手など約700社が加入する県建設業協会。出陣式で従業員らに動員を掛けるなど、かつては「集票マシン」と言われた。
ある大手業者は「知事選で汗を流せば仕事につながる時代は終わった。入札制度が変わり、あまりメリットはない」と話す。
地方でも協会推薦の候補一辺倒ではなく、日ごろからの付き合いを重視して地元首長や地域の有力業者の顔色をうかがう中小・零細業者も少なくない。
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