県都繁華街に事務所 今は昔?
4陣営が荒田集中
(2020-07-04)

7月12日投開票の鹿児島県知事選に立候補した7人のうち、4人の選挙事務所が鹿児島市の荒田1丁目にある。2004年以降4回の知事選で、1人しか事務所を構えていなかった「高級住宅地」に集中したのはなぜか。各陣営は、交通アクセスの良さや看板効果を挙げる。
一般的に選挙事務所の立地は、目立ちやすさ、交通アクセス、場所の説明しやすさ、家賃、広さ、駐車場の数などで決まる。過去4回の知事選候補者10人が市内に構えた事務所は、天文館や鹿児島中央駅周辺の商業地と共産党県委員会(真砂本町)近くが大半だった。荒田1丁目は、04年の溜水義久氏のみ。
荒田、下荒田、鴨池エリアを中心に不動産業を営む須部純範さん(70)によると、荒田1丁目は「県内トップクラスの高級住宅地。整然として品格があり、交通アクセスもよい」。選挙事務所に使うには駐車場の確保が課題だったが、「ここ数年、コインパーキングが増えてきた」。
元職の伊藤祐一郎候補(72)の選挙事務所は高麗本通り沿い。徒歩圏内にある中洲通り沿いの後援会事務所を荷物置き場や駐車場に使えるから便利だ。陣営幹部は「近くにおいしいランチや弁当の店があり、スタッフの楽しみになっている」と語る。
知名度不足が課題となっている前九州経済産業局長の塩田康一候補(54)の選挙事務所は、交通量の多い中洲通りと電車通りが交差する角地。どちらの通りからも目に入る「看板効果」は大きい。
元民放アナウンサーの青木隆子候補(57)の選挙事務所もバス、電車を含めたアクセスを重視する。ただ、若い支持者は事務所には足を運ばず、テレビ会議システムZoomや無料通信アプリLINEでやり取りする。「新型コロナは事務所の在り方も変えるかもしれない」と陣営幹部。
医師の横山富美子候補(73)の選挙事務所は支援する市民団体が選んだ。「知名度が低いので電車通り沿いの分かりやすい場所を探し、大きな看板を付けた」と話す。「コロナ対策となる広い部屋、清潔なトイレがあったのが決め手」
各事務所の広さは70~200平方メートル程度で、駐車場は近隣の空き地などを含めても多くて十数台分。長年選挙に携わる関係者は「これまでの事務所はもっと広かった。ただ、狭くてもやり方次第では何とかできる」と話す。
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