政策綱領 夢熱く 桜島架橋/伊作トンネル/国際会議場…
7候補、個性打ち出す
(2020-07-08)

「指宿スカイラインの無料化」「アウトレットモールやテーマパーク誘致」。現職の三反園訓氏(62)は初当選した4年前のマニフェストで有権者の心をつかむ言葉を並べた。「4年間を振り返り、現実的な対応を取った」という今回は、数値や具体目標がほとんどない抽象的な表現が目立つ。それでも126項目の中には「石造建築として県内で2番目に古い旧考古資料館(鹿児島市城山町)」の有効活用、「南薩横断道路」「伊作峠トンネル」の記述があった。
新人で元鹿児島大学特任助教の有川博幸氏(61)と返り咲きを狙う元職の伊藤祐一郎氏(72)は「コロナ克服後に考えること」と前置きした上で桜島架橋を掲げた。有川氏は「鹿児島レインボーブリッジ」と名付け、国道224号の一部として国や火山、建築の専門家と協議しながら進める考えを示す。伊藤氏は国道58号の国直轄事業としての架橋の可能性を検証するほか、長島天草架橋、奄美大島縦貫高速自動車道、薩摩半島横断道、高隈トンネルも掲げ、「夢を持って次世代の県土づくりを考えないといけない」と語る。
各候補はドルフィンポート跡地を含む鹿児島港本港区エリアの活用策にも知恵を絞る。新人で前九州経済産業局長の塩田康一氏(54)は、国際会議を開催できるコンベンションや展示機能の整備を、有川氏は全市町村が参加する大型観光ミュージアムと地域活性化相談室の設置、伊藤氏はスーパーアリーナとサッカースタジアムを挙げる。一方、新人で医師の横山富美子氏(73)は「大型開発はやめて災害に強い持続可能なまちづくりを進める」と訴える。
「脱原発」の具体策を明記する候補もいる。経産省出身の塩田氏は「蓄電池を活用した地産地消型再生可能エネルギーの推進」で非常時のエネルギー確保、雇用創出、離島の地域活性化を目指す。新人で元民放アナウンサーの青木隆子氏(57)は「気候非常事態宣言を発令し、2050年に二酸化炭素排出実質ゼロ」を目標に掲げ、日本一の面積を誇る竹林の利活用を提言。新人で元高校教諭の武田信弘氏(66)はマグマ発電を含めた地熱開発の必要性を主張する。
横山氏は「県立短期大学を4年制大学に発展させ、医療・福祉系学部の新設」を目指す。このほか、かかりつけ助産師制度(青木氏)、楠隼中・高校の共学化(塩田氏)、トライアスロン世界大会(有川氏)、全国和牛能力共進会の日本一(三反園氏、伊藤氏)、焼酎出荷量日本一奪還、文化・芸術振興に公共工事費の1%相当額確保(いずれも伊藤氏)などが盛り込まれた。
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