終盤 県都に照準
7陣営 若者票掘り起こし鍵
(2020-07-10)
最終盤の主戦場となりそうな県都に掲示される7候補の選挙ポスター=7月9日、鹿児島市鴨池2丁目
県内の選挙人名簿登録者数は7月2日現在、135万7486人。うち35%超が鹿児島市に集中する。ただ都市部にありがちな政治への無関心層が多いのが特徴で、投票率の低さが毎回指摘されている。
過去4回の知事選を見ると、鹿児島市の投票率は県平均より4~9%ほど低い。前回2016年は県平均56.77%に対し、鹿児島市は52.39%。県の抽出調査では、30代半ばより若い世代が50%を切っており、若者票をいかに掘り起こすかが上積みの鍵になりそうだ。
現職の三反園訓氏(62)を推す自民党の森山裕県連会長は、県都での戦いが「天王山」とみる。前回「公認並み」に支援した前知事がここで大敗を喫したからだ。7日は党県連で県議らと顔を合わせ、引き締めを図った。
新型コロナウイルスや大雨対応で、三反園氏は3日以降、街宣車に乗れていない。代わりに等身大パネルや音声を用意するなど工夫を凝らし、現県政を間近で見てきた県議らがそれぞれ地元を中心に政策を訴えている。森山氏は「各県議には鹿児島市の知人に電話をかけ、支持を広めてもらっている」と話す。
新人で前九州経済産業局長の塩田康一氏(54)は「鹿児島市生まれ」を強調し、街宣と街頭演説で追い込みを掛ける。9日午前は紫原や西陵などの住宅地や市南部をくまなく回り、「初の県都出身知事に押し上げて」と声を張り上げた。
「市内は顔が見えにくく、浮動票を握る人たちにどう伝えるかが難しい」と塩田氏。街宣では、近くの企業名をアナウンスして支持を訴えるといった変化もつける。コロナ対策で密集を避け、ゲリラ的に街頭演説を開くことも。「選挙は最後の3日間で決まる。気を引き締めて戦い抜く」
4年前、県都で7万票近い差を付けられた元職の伊藤祐一郎氏(72)。陣営は9日、鹿児島市内の掲示板約745カ所のポスターを一新した。コロナの感染拡大を受けた対応で、危機下の「即戦力」を前面に打ち出す。
弱点とされる若者、女性票の獲得にも余念がない。子育て世代への浸透を目指し、街宣は団地中心。インターネット対談を毎日開き、若い世代と意見を交わす。陣営幹部は「県都で風を吹かせたい」と意気込む。10日は県議が会派を超え、天文館で応援演説に駆け付ける予定。結束の固さをアピールする。
コロナの感染拡大や大雨と、想定外の事態が重なった選挙戦。三反園、塩田、伊藤の3氏が先行しているとみられる中、追う新人4人も巻き返しを狙う。
元民放アナウンサーの青木隆子氏(57)は市内各地で街頭演説に立ち、ボランティアがチラシを配りながら支持を訴える。医師の横山富美子氏(73)陣営は「政策をしっかり伝えたい」と、個人演説会を毎日の予定に組み込む。元鹿児島大学特任助教の有川博幸氏(61)は、鹿児島市にこだわらず街宣する考え。演説のライブ配信も最終日まで続ける。元高校教諭の武田信弘氏(66)は最終日の11日、鹿児島市で遊説後、指宿市役所前で地熱開発の必要性を訴えて締める。
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