7月12日投開票の県知事選が始まった。コロナ下で県民は政治に何を望んでいるのか。声を聞いた。
漁業者
地元消費拡大が急務
(2020-07-12)

現場と行政との連携の重要性を訴える川畑友和さん=鹿児島市
水揚げした魚は毎日、鹿児島市の中央卸売市場魚類市場へ出荷する。しかし新型コロナウイルスの感染が拡大した2月以降、同市場から県外の大都市への魚の出荷が一時、ほぼストップした。
元々、鹿児島県は魚の消費量が少なく、特にマダイやイシダイ、スズキなど高級魚は多くが首都圏に出荷される。しかし新型コロナで飲食店などが相次いで休業。需給バランスが崩れ、市場での価格は大幅に下がった。「鹿児島は上質の牛肉や豚肉、鶏肉などライバルとなる食材が多い。漁業者や卸売業者、行政が団結しないと消費量の底上げはできない」と力を込める。
県が認定する漁業士会に所属し、鹿児島県漁協青年部連合会の会長も務める。「漁業振興には、まず地元の人々に魚を食べてもらわなくては」と、以前から魚食普及に取り組んできた。県漁連などから寄付を募って、3年前から旬の魚や購入できる場所を紹介するカレンダーを作成し県内の小学5年生に配布する。個人でも地元住民向けの魚のさばき方講座を開くなど精力的に活動する。
県は新型コロナウイルスにより需要が低迷する養殖ブリとカンパチの給食提供を6月に開始。今後は量販店などの小売店や飲食店と協力して魚の販促を進め、消費拡大を図る考えだ。高校生向けの魚を使ったレシピコンテストも予定している。
「地元での需要拡大が重要という認識は一致している」と、県の対応を評価しつつも、方法や時期については「もっと迅速に、広範囲に行き渡る支援策にしてほしかった」と指摘する。「漁業といっても業態は多種多様。効果的な対策にするために現場の声を聞き、スピード感を持って政策に生かしてほしい」
有事に対応できる力強い漁業を確立するためには、県内の消費拡大が急務。先を見据えた対策を練るためには漁師や流通業者、飲食店経営者などさまざまな立場からの意見が必要だ。「関係者の声を多く取り入れ、将来を見据えた漁業振興策を実行できる人に県政を任せたい」
=おわり=