立候補予定新人4人 マニフェスト出そろう
コロナ対策 最優先
(2020-11-14)
11月22日告示の鹿児島市長選に立候補を表明している新人4人のマニフェスト(政策綱領)が出そろった。市民の不安解消のため、いずれも新型コロナウイルス対策を1番手に挙げた。収束後を見据え、社会経済をどう立て直し、国が掲げる「新たな生活様式」を市民生活に浸透させていくか。それぞれの独自性ある訴えとともに紹介する。
女性活躍推進に力
■桂田美智子氏
元市議の桂田美智子氏(67)=共産公認=は「誰一人取り残されないまちづくり」に向けて、50項目を発表した。子育て支援や女性活躍推進への強い思い入れが感じられる。
ドメスティックバイオレンス(DV)問題への関心が高く、被害者を保護するシェルターの設置を進め、市役所の管理職に占める女性の割合は30%に引き上げる。同性カップルを婚姻相当に認める「パートナーシップ制度」導入も盛り込んだ。
コロナ対策では、希望者へのPCR検査の実施を挙げた。集団感染を防ぐため、教育機関や介護・福祉施設の検査も念頭に置く。
郡山地区の一部が九州電力川内原発(薩摩川内市)の30キロ圏内に位置しており、原発問題も取り上げた。「運転期限延長と3号機増設への反対を知事に要請する」と明記した。
各公民館へのWi-Fi整備や死亡後手続きのワンストップ化など、市民の要望を反映した項目も設けた。市民の思いが伝わる市政を目指す。
【桂田美智子氏 マニフェスト】
http://www.jcp-kagoshima.server-shared.com/jk/
行政の継続性強調
■松永 範芳氏
松永範芳氏(62)は5分野55項目を掲げ、「市民が安心して暮らせるまちづくり」を訴える。コロナ対策のほか、地域経済振興や防災、子育て・高齢者支援、市民サービス向上を柱に据えた。副市長として支えた現市政の方針を反映し、「行政の継続性」を強調した内容となっている。
コロナ対策では、医療・経済関係者らを交えた官民会議の設置を提案する。政府の分科会をモデルに、スピード感と実効性のある施策を打ち出す考えだ。脱炭素社会の実現や火山防災モデル都市の推進などは、現市政の継続事項でもある。
このほか、多様性を認める社会の実現に向け、「パートナーシップ制度」の来春導入を明言。スケートボードなどの都市型スポーツやeスポーツの振興、桜島へのオートキャンプ場整備といった独自策も盛り込んだ。
幅広い分野をカバーする一方、具体的な数値目標を示した項目は少ない。「現在策定中の次期総合戦略で示したい」とした。
【松永範芳氏 マニフェスト】
https://matsunaganoriyoshi.com/
ICTを積極活用
■下鶴 隆央氏
前県議の下鶴隆央氏(40)は、コロナ禍で市政は転換期にあると強調。「有権者との約束」として、4人中最多の100項目を挙げた。ITコンサルティング勤務の経験を基に、市民サービスでの情報通信技術(ICT)の積極活用をうたう。
コロナ対策の先頭に立つ姿勢を示すため、市長給与50%カットを打ち出した。予想される税収減に対する新たな産業振興策として、農林水産業を軸にした「稼げる」仕組みの構築を目指す。観光関連を基幹産業に位置付け、外国人誘致に力を入れる考えだ。鹿児島湾内の水上交通網整備は独自色があふれる。
ふるさと納税にも着目。「返礼品目当てから、寄付者の志を届ける風潮になりつつある」とし、3市立高校の教育環境整備に使えるよう取り組むとした。
市政運営に当たっては、官民連携の場面を増やしたいという。「少ない資源でより多くの成果を求める民間の知見が必要。市民サービスの向上にもつながる」と訴える。
【下鶴隆央氏 マニフェスト】
https://t-shimozuru.site/
「逞しい市政」実現
■上門 秀彦氏
前市議の上門秀彦氏(66)は、自立的で持続性のある社会に向け、「逞(たくまし)い市政」の実現を訴える。コロナ禍で財政見通しが不透明だとし、詳細な施策は打ち出さず、市政運営の基本方針を示すにとどまった。
方針は、産業振興や教育・福祉、まちづくり、桜島の活用といった10分野。「既存事業の選別、見直しを進め、優先順位を付けて実行する」と説明した。観光・建設関連は「すそ野が広く、雇用や税収にも影響を与える」として、力を入れていく考えを示す。
前例主義、縦割り行政の脱却を掲げ、「住民のニーズに合わせる」市政運営を目指す。今後は厳しい財政状況になることを踏まえ、職員定数見直しや事業の民間移譲など行政のスリム化も検討する。
独自策として、旧5町の特性を生かした活性化を挙げた。「パートナーシップ制度」導入については「機運は醸成されつつあるが、議論すべきことがある」として盛り込まなかった。
【上門秀彦氏 マニフェスト】
https://www.uekado.jp/
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