米大統領選で注目「郵便投票」 障害者ら一部に限定
(2020-11-27)

10月、米東部ペンシルベニア州で大統領選の郵便投票を行う人(ゲッティ=共同)
国内の郵便投票は不在者投票の一部。対象は外出が困難な障害者などで、身障者手帳のコピーなどを選挙管理委員会に提出して「郵便等投票証明書」を事前に入手するなど手続きも複雑だ。市選挙管理委員会によると、前回2016年の市長選では、投票総数約12万4500票のうち、郵便投票は54だった。
かつてはもっと簡単に利用できた郵便投票だったが、1951年の統一地方選で本人以外による投票が続出し、千件以上の訴訟に発展。制度はいったん廃止されたものの、重度障害者の選挙権行使を目的に74年に復活。対象者の限定や証明書交付など、不正防止策を講じて現在に至る。
コロナ禍の米大統領選で郵便投票が増えたことにより、日本でも見直しの機運が高まるのか-。慶應義塾大学総合政策学部の中山俊宏教授=アメリカ政治外交=は「米国は国土も広く、自動車を持たない人に投票機会を確保するという観点があり、日本とは背景が異なる」と指摘する。
情報通信と政治の関係に詳しい東京工業大学の西田亮介准教授=社会学=も「投票所外での投票を認める場合、投票の秘密や二重投票防止など越えるべきハードルが多い。投票率アップには、期日前投票所を拡大する方が現実的ではないか」と話した。
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