12月に任期満了となる鹿児島市の森博幸市長(70)が引退する。2004年から始まった森市政の4期16年で、県都の姿はどのように変わったのか。トピックごとに数字から読み解く。
(1)鹿児島市の人口 59万5049人
旧松元町以外は軒並み減少
(2020-10-16)

松元地域の活性化を目的に設置された「都市農村交流センターお茶の里」=鹿児島市春山町
合併後間もなく新市長に就任した森氏。約600人の職員を前にしたあいさつで訴えたのが、新市の一体化と「均衡ある発展」だった。
あれから16年、60万5650人(05年1月1日)だった人口は、現在59万5049人(20年3月1日)。約1万人減った。

旧5町では唯一、松元が1万2000人から1万6000人と30%超増えたのに対し、他は軒並み約15%以上減らした。特に4400人から2900人と35%近く落ち込んだ桜島が際立つ。旧鹿児島市も8000人減ったが、割合にすれば1.5%。人口減の波は特に周辺部に押し寄せたことを物語る。
市幹部の一人は、森氏の旧5町に対する配慮は「手厚い予算投入に表れる」という。
社会整備事業費として16年間で774億円を投入した。郡山の土地区画整理など213億円、喜入の観光農業公園(グリーンファーム)整備など177億円、松元の都市農村交流センターお茶の里の整備など142億円が代表的なものだ。吉田は吉田小学校の移転などに130億円、桜島は赤水展望広場や総合体育館の空調設備整備に112億円を充てた。いずれも旧町単独では実現困難だったとみられる。
松元の人口増は「地理的な恩恵を受けた結果」というのが地元の見方だ。春山校区まちづくり協議会会長の児島照文さん(80)は「車で30分程度走れば市中心部や谷山などに行ける。利便性がいいから若い人たちが移住してきた」。一方、合併で地域の一体感はかつてより薄くなったと感じている。
「町のままだったら財政はもっと苦しくなったはずだ」。元桜島町総務課長で、桜島地域まちづくり協議会の会長をしていた時村悟さん(77)は、合併を選んだ住民投票は正しかったと信じている。施設整備や観光振興などメリットも認めている。同時に「貴重な働き場だった役場や農協が縮小され、若い人が少なくなった。今ではイベントの担い手も、農家の跡継ぎもいない」と複雑な心境だ。
国立社会保障・人口問題研究所は、40年の鹿児島市の人口は約52万人、60年には約42万人になると推計する。「周辺部の過疎化は進み、ますます元気がなくなるのでは」。時村さんは懸念する。
[一覧]
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2020/10/29 | (8)20年度火山対策予算 5132万円 |
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2020/10/25 | (6)普通教室エアコン設置率 100% |
2020/10/22 | (5)入り込み観光客(18年) 1019万人 |
2020/10/20 | (4)敬老パス所有者 10万1000人 |
2020/10/19 | (3)児童クラブ数 168 |
2020/10/17 | (2)緑化軌道の総延長 8.9キロ |
2020/10/16 | (1)鹿児島市の人口 59万5049人 |