2020鹿児島市長選 数字で点検-森市政16年

 12月に任期満了となる鹿児島市の森博幸市長(70)が引退する。2004年から始まった森市政の4期16年で、県都の姿はどのように変わったのか。トピックごとに数字から読み解く。

(3)児童クラブ数 168

4期で4倍 職員不足が顕在
(2020-10-19)
宿題をしたり読み聞かせを聞いたりして過ごす子どもたち=鹿児島市武岡2丁目
宿題をしたり読み聞かせを聞いたりして過ごす子どもたち=鹿児島市武岡2丁目
 昼間、家に親がいない小学生が放課後に過ごす児童クラブ。共働き世帯の増加や就労形態の多様化で、鹿児島市でもニーズは年々増え続けている。
 森市政が始まった2004年は40クラブだったのが、16年後には4倍以上の168に。利用児童も1785人から6919人に増えた。国の財政的な後押しもあり、子育て支援を重要政策に掲げた森市政は着実に数字を伸ばした。
 一方、待機児童はなかなか解消されない。15年4月に「子ども・子育て支援新制度」が施行され、対象が従来の小学3年生以下から6年生までに広がると、待機児童は前年の171人から急増し414人になった。今も100人以上が空きを待っている。
 クラブの増加に伴ってここ数年で目立ってきたのが職員不足だ。今月15日現在、23クラブが募集をかけている。職員は地域住民でつくる運営委員会が雇用するが、待遇は市が一律で設定。時給は段階的に改善し、今春からは支援員千円、補助員870円に上げた。ただし、退職金や賞与はない。
 武岡児童クラブは、武岡小学校の余裕教室を活用し、3カ所で計約160人が利用する。全校児童約340人の半数近くだ。来年度は新1年生の6割が利用を希望しているという。
 クラブ発足時から約40年間運営に関わる放課後児童支援員の橘木岸子さん(76)は「保育園に通う子どもは、小学校に上がれば児童クラブが必要になる。働く親たちを支えるために、公的責任で全員受け入れる態勢をつくるべきだ。職員の身分が安定的に保障され、クラブの担い手を確保できるようにしてほしい」と訴える。