2020鹿児島市長選 数字で点検-森市政16年

 12月に任期満了となる鹿児島市の森博幸市長(70)が引退する。2004年から始まった森市政の4期16年で、県都の姿はどのように変わったのか。トピックごとに数字から読み解く。

(4)敬老パス所有者 10万1000人

有料化で市負担は半額以下
(2020-10-20)
敬老パスのサンプル。顔写真の右側に住所、氏名、生年月日が記載される
敬老パスのサンプル。顔写真の右側に住所、氏名、生年月日が記載される
 鹿児島市が70歳以上を対象に公共交通機関の運賃を無料にしてきた敬老パス制度。森市政1期目の2006年3月、ICカードの導入に合わせ有料化された。個人負担額は運賃の3分の1。現在なら市バスが60円~、市電50円、桜島フェリー60円などだ。
 制度の見直しは、赤崎義則元市長が01年9月、市議会で方針表明したのを機に検討が始まった。敬老パスは全国に先駆け1967(昭和42)年にスタートしたが、少子高齢化が進み、利用者は創設時の5倍、負担額は80倍に膨らみ財政を圧迫する。有料化前の05年度は9億6000万円に上った。
 市長寿支援課によると、当時の利用者には「一部負担やむなし」「年金暮らしに新たな負担は厳しい」といった賛否両論があったという。2005年の市議会3月定例会、森博幸市長は高齢化や市町村合併で市域が2倍に広がったことを挙げ「将来にわたり制度を継続するため」と有料化への理解を求めた。
 19年度末時点で敬老パスを持っているのは約10万1000人。市民の約16%に相当する。19年度の市負担は4億1000万円で、05年度の半額以下になった。1人当たりの月平均利用回数は4.47回(19年度)。
 一方、旧鹿児島市域と旧5町域で利用頻度に温度差があるのも事実だ。自家用車があり敬老パスは使わないという喜入前之浜町の横峯慎一さん(73)は「バス路線や便数が少なく、使う機会がない。近所でも(提示すれば100円で入れる)温泉以外で使っているという話はあまり聞かない」と話す。