2020鹿児島市長選 数字で点検-森市政16年

 12月に任期満了となる鹿児島市の森博幸市長(70)が引退する。2004年から始まった森市政の4期16年で、県都の姿はどのように変わったのか。トピックごとに数字から読み解く。

(5)入り込み観光客(18年) 1019万人

追い風を生かして過去最多
(2020-10-22)
 海外旅行が珍しかった1960~70年代、鹿児島県と宮崎県は「新婚旅行ブーム」に沸いた。鹿児島市にも大勢のハネムーン客が訪れ、73年の宿泊観光客数は322万7000人。この数字は森博幸市長が2期目の2011年、38年ぶりに塗り替えられる。九州新幹線全線開業という追い風を受け、この年は前年比39万人増の326万1000人をマークした。
 森市政下の観光は、おおむね順調だったといっていい。森市長が今年9月の引退会見で振り返ったように、任期中に鹿児島を舞台にした二つのNHK大河ドラマ放送という“引き”の強さがそこにはあった。
 「篤姫」が放送された08年の入り込み観光客数は前年比43万人増の900万人。「西郷どん」の18年は前年比32万人増の1019万4000人で過去最多となった。
 一方、城山観光(鹿児島市)の社長、会長などを務め、今年4月から県の観光プロデューサーに就いた伊牟田均さん(72)は、「追い風」だけではない森市長の手腕を評価する。
 市電の軌道緑化、明治維新150年に合わせた歴史・文化施設の整備、鹿児島マラソン開催-。「森市長らしい堅実な施策が、着実に観光客を増やす結果につながった。リーマンショックや熊本地震の時でも、観光客数に大きな落ち込みがなかったことが、それを表している」
 16年間の最後の1年は、新型コロナウイルスという未曽有の試練に直面した。影響をまともに受けた観光業界をどう支えていくのか、次の市長には重いバトンが渡されることになる。