2020鹿児島市長選 数字で点検-森市政16年

 12月に任期満了となる鹿児島市の森博幸市長(70)が引退する。2004年から始まった森市政の4期16年で、県都の姿はどのように変わったのか。トピックごとに数字から読み解く。

(6)普通教室エアコン設置率 100%

降灰対策で開始 4年で達成
(2020-10-25)
計画最終年にエアコンが設置された平川小学校の教室=鹿児島市平川町
計画最終年にエアコンが設置された平川小学校の教室=鹿児島市平川町
 2010年、桜島の爆発回数が800回を超えた。エアコンがない学校にとって、灰が降って窓を開けられない夏場は過酷な学習環境となる。そこで、森博幸市長は全ての普通教室にエアコンを設置する計画を立てた。8月には文部科学省を訪問。財政支援を直談判した。
 対象は設置済みの桜島地区7校を除く市立小中高114校の普通教室1787。これを桜島の火口から近い順に四つのグループに分け、順番に整備をする計画を立てた。工事は翌11年度から始まり、計画通り14年度には完了。目標の設置率100%を達成した。
 文部科学省によると、熱中症予防の観点から普通教室にエアコンを設置する小中学校はここ数年で急増した。全国平均は92.8%で、鹿児島県は95.3%だ(20年9月1日現在)。
 「みんなが一斉に設置しようとしたため、ニーズが多すぎて業者を見つけるのが大変と聞いた。先を見越して早急に対応していて良かった」。市教育委員会施設課の担当者が満足そうに説明する。
 1992年から特別教室に都市ガス方式のエアコンを設置していた鹿児島市は、工事が簡単な点などを考慮し普通教室でも同じ方式を採用した。その結果、最終的にかかった設置費用は当初見込みより10億円安い34億7000万円。このうち20億8000万円は国の補助だった。
 生徒数73人の平川小学校は計画最終年に設置された。「これまで赴任した学校は扇風機しかなく、非常に暑かったのでありがたい」。教師歴約30年にして、普通教室にエアコンがある学校は初めてという上原大樹教頭(55)は「エアコンがあれば生徒の集中力アップなど一定の学習効果が得られる」と話した。