2020鹿児島市長選 数字で点検-森市政16年

 12月に任期満了となる鹿児島市の森博幸市長(70)が引退する。2004年から始まった森市政の4期16年で、県都の姿はどのように変わったのか。トピックごとに数字から読み解く。

(7)19年度基金残高 304億円

就任時と同水準、今後厳しく
(2020-10-27)
 「新時代の幕開けの年として、鹿児島の持続的な発展とマニフェストの実現に向けて、しっかりとした予算編成ができた」
 2月の2020年度当初予算案発表。自身にとってこれが最後の予算編成になると分かっていたのかどうか知るよしもないが、森博幸市長は記者たちを前に力を込めた。
 一般会計総額は初の2700億円超え。市長として初めて編成した05年度は約2000億円だったから、16年で700億円以上も増えた計算になる。少子高齢化が進み社会保障費が膨らんだことが主な要因という。
 一方、貯金に当たる基金(市債管理、建設事業、財政調整)は、19年度が304億円で05年度の315億円とほぼ変わらない。予算規模は35%大きくなったのに基金は同じ水準。これについて、市財政課は「今のところ目標値は持っていないが、緊急時に対応できるように少しでも多くの額を確保しておくのが望ましい」と説明する。
 状況は今後厳しくなる。20年度は南部清掃工場の建設などで104億円を取り崩す計画。そこに新型コロナウイルスの感染拡大が加わり、市は独自の経済対策を矢継ぎ早に打ち出した。コロナ関連でこれまでに基金から支出したのは7億円に上る。
 森市政下で最も基金が減ったのは、リーマンショックの影響を受けた09年度の196億円だ。当時を知る元幹部は「200億円を切ったときは先行きに不安を覚えた」と振り返る。
 山本倫代財政課長は「コロナ禍の影響で21年度以降を見通すのは難しい。税収減は避けられそうになく、これまで以上に歳出を厳しく見直さなければならないだろう」と話す。