2020鹿児島市長選 数字で点検-森市政16年

 12月に任期満了となる鹿児島市の森博幸市長(70)が引退する。2004年から始まった森市政の4期16年で、県都の姿はどのように変わったのか。トピックごとに数字から読み解く。

(10)ソーホー“卒業者” 81

起業家育て、新たな産業創出
(2020-11-03)
新規創業者を支援するソーホーかごしま=鹿児島市役所みなと大通り別館
新規創業者を支援するソーホーかごしま=鹿児島市役所みなと大通り別館
 鹿児島市役所みなと大通り別館にあるソーホーかごしまには、起業後間もない19の事業者が数年後の独立を見すえてオフィス(10~21平方メートル)を構える。翻訳や映像コンテンツ制作、広告など業種は多彩だ。
 森博幸市長が就任した2004年12月、新規創業者らを育成支援する目的で開所した。初めは「行政が運営する安い貸事務所」と見られることもあったが、インキュベーション・マネジャー(IM)を常駐させると変化が現れた。IMは入居者や起業を目指す人の相談に乗り、事業計画の作成や経営アドバイスをするのが仕事だ。
 ビジネスのいろはを学び“卒業”していった事業者は、19年度末までに81を数える。ゲーム開発のアプリファクトリーはるni(堀江町)はその一つ。4年半で独立し、今年3月には市と立地協定を締結した。
 「入居者は同じような境遇で、互いの情報が参考になり交流が深まった。経営は素人なので、いつでも相談できるIMの存在も心強かった」。野下彰太社長(36)は駆け出しだった当時を振り返る。
 市によると、入居者の84%が卒業後も事業の継続・拡大に意欲を示した。公的施設に入居することで、取引や雇用の際の信用度も増すと答えたという。
 企業誘致と並び産業の創出は市にとって最も重要な課題の一つだ。雇用の場を確保できれば若者の流出にも歯止めを掛けられる。
 市は19年2月、情報関連産業を支援するソフトプラザかごしまを「マークメイザン」にリニューアルした。デザインなどクリエーティブ産業を育て、起業家の育成や事業者間のビジネスマッチングを後押しするのが狙いだ。産業創出課の柳田ひろみ課長は「クリエーターを増やして、鹿児島の産業全体の底上げにつなげたい」と話す。