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【WEB限定】離島の県立校・大島の快進撃で注目 球数制限? 継続試合? 高校野球の?を解説

(2021-11-20)
大分舞鶴との1回戦、延長10回表のピンチを切り抜けて盛り上がる大島ナインと応援席=6日、鴨池市民
大分舞鶴との1回戦、延長10回表のピンチを切り抜けて盛り上がる大島ナインと応援席=6日、鴨池市民
表・大野投手の球数
表・大野投手の球数
大分舞鶴との1回戦で力投する大島のエース大野=6日、鴨池市民
大分舞鶴との1回戦で力投する大島のエース大野=6日、鴨池市民
 鹿児島県立大島高校野球部の活躍に沸いた2021年秋だった。九州地区大会県予選の離島勢初制覇に続き、本大会も勢いそのままに勝ち上がって準優勝。公立の進学校ながら来春のセンバツ出場を確実なものにした。一方で、九州地区大会では、日本高野連が定める「1週間500球」という球数制限により、県予選から1人で大島のマウンドを守り続けてきたエース左腕・大野稼頭央投手が準決勝と決勝の登板を回避した。球数制限とは何か? 最近注目を集める「継続試合」とは? 大島の快進撃を振り返りながら、話題の言葉を解説する。

 まず、大島の戦績を振り返る(★はサヨナラ勝ち)。

○鹿児島県予選○
1回戦 3-2鹿児島工(延長12回★)
2回戦 8-4尚志館
3回戦 2-1鹿屋農(9回★)
準々決 13-0川内(5回コールド)
準決勝 4-3樟南(延長13回タイブレーク★)
決 勝 5-4鹿児島城西(延長13回タイブレーク★)

○九州地区大会○
1回戦 4-4大分舞鶴(延長10回雨天引き分け)
1回戦 3-2大分舞鶴
準々決 3-0興南(沖縄)
準決勝 11-7有田工(佐賀)
決 勝 6-12九州国際大付(福岡)

 鹿児島県予選は6試合中、実に4試合がサヨナラ勝ち。うち3試合は延長戦で、11イニングを余計に投げたことになる。接戦を演じるほど、投手の投球数はおのずと増える。大野投手の投球数を見てみよう。

○鹿児島県予選○
1回戦 180球(9月26日)
2回戦 155球(10月1日)
3回戦 111球(10月3日)
準々決 77球(10月9日)
準決勝 183球(10月11日)
決 勝 207球(10月13日)

 「1週間500球」という球数制限を実際の大会日程と重ね合わせる。県予選でいえば、1回戦(9月26日)の180球は1週間後の10月3日にリセットされた。3回戦から準々決勝までは中5日と間隔が空いたため、大野投手は決勝まで1人で投げ抜くことができた(ちなみに、決勝が終わった時点で大野投手の残球は33。もし試合がさらに長引いていれば、決勝戦でも途中降板の可能性があった)。

■準々決勝勝利時に「残り33球」

 大会期間の長い県予選に対し、九州地区大会は開幕から決勝まで1週間という短期決戦。雨天順延などがない限り、投球数はリセットされない。全国の地区大会をみると、大半の地区で土日を中心に余裕を持った日程が組まれているが、「九州地区は沖縄や奄美など離島があり、移動に伴う費用や選手疲労を考えると、土日開催には簡単に踏み切れない」(鹿児島県高野連)という。九州ならではの要因も、今回の球数制限を生んだ。

○九州地区大会○
1回戦 186球(11月6日)
1回戦 160球(11月7日)
準々決 121球(11月9日)
準決勝 登板せず(11月11日)
決 勝 登板せず(11月12日)

 さらに、雨という不確定要素にも見舞われた。大島の1回戦、大分舞鶴戦は土砂降りの中で進み、延長10回が終わった時点で4-4。結局、雨天で引き分けとなり、翌日に実施された再試合と合わせて、大野投手の投球数は1回戦だけで346球に達した。準々決勝の興南戦で完封勝ちを収めたものの、9イニングで121球を投じ、この時点で球数制限までの残りは33球となった。

 「引き分け再試合ではなく、翌日に延長11回から始めれば球数も抑えられるのに…」という声が、観客からも聞かれた。

 現在、高校野球では、試合成立(7回終了)前に雨天などで中止になると、ノーゲーム扱いで再試合となる。本塁打や奪三振などの記録は残らないが、投球数だけはカウントされる。いわば「無駄球」だ。試合が成立した後でも、今回の大島のように、引き分けのまま雨で試合続行が不可能になった場合も同様の扱いだ。これを、再試合ではなく、中断した時点から再開するのが「継続試合」という考え方。いま、日本高野連でも検討されている。

 仮に継続試合が導入されれば、投手の投球数減が見込まれる上に、「雨天時の中止の判断もしやすくなり、長時間の待機もなくなるのでないか」(鹿児島県高野連関係者)。

■逆境をプラスに変えた力

 九州地区大会を制した九州国際大付は、今大会で計4人の投手がマウンドに立った。球数制限は投手が少ない公立校には不利になるとの見方もある。

 大島は、この逆境を「プラス」に変えた。準々決勝の興南戦。エース大野は連投から肩に重さを感じていたという。直球で押す従来のスタイルから、変化球主体の「打たせて取る」投球法に挑んだ。この結果、興南戦の奪三振はわずか2。県予選61イニングで68三振を奪った「剛」から「柔」の転換を見事にこなし、塗木哲哉監督を喜ばせた。

 さらに大島は準決勝で、エース大野を外野手として起用し、三塁手・前山と遊撃手・武田の継投で有田工に打ち勝った。「球数制限のおかげで、大野がマウンドにいない場合の布陣を公式戦で試すことができた。これが一番の収穫だった」(塗木監督)。内野の要である武田主将がマウンドに上がった際の二遊間は、1年生コンビが見事にその代役を果たした。元々、離島にあって、対外試合の経験が圧倒的に不足する環境。「公式戦は貴重な成長の場」と位置づける大島は、球数制限という逆境すら乗り越えてみせた(ちなみに、雨天などで九州大会決勝が1日順延されていたら、初戦の186球分が復活して、大野投手の“持ち球”は219球になっていた)。

 球数制限と継続試合の在り方に一石を投じた今回の九州地区大会と大島の戦いぶり。議論がどう進んでいくか、注目していきたい。
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