2022/10/07 17:39
[輝く新星、夢へ]ボクシングの中村尚暉(阿久根中3年)/試合のたび進化

長身を生かしたパンチが武器の中村尚暉=阿久根市の総合運動公園武道館
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「バシッ」。阿久根市の総合運動公園武道館に、サンドバッグをたたく音が響く。ひょうひょうとした印象は、グローブをはめると一変した。177センチの上背を生かしたパンチに気迫がみなぎる。阿久根中学校3年中村尚暉は今年、全国の舞台を2度経験した。試合をするたびに成長し、周囲の期待が高まっている。
小学6年の時、「強くなりたい」とボクシングを始めた。背が伸びるにつれ長いリーチが武器となり、今年3月の全日本UJフレッシュボクシング大会64キロ級で優勝した。精鋭が集った8月の全日本UJ王座決定戦は初戦で敗れたが、自分の身長を上回る選手と初対戦。「良い経験になった」と糧にする。
高さのある選手と渡り合えるように足を使った攻撃も取り入れる。「足と手の連動など基本が一番難しい」。練習の合間、人懐っこい笑顔を見せながらボクシングの奥深さを語った。
気持ちを引きずらないのが信条だ。今夏の練習試合。ダウンを喫した後に「俺、強くなったな」と口にし、気遣うチームのメンバーを驚かせた。切り替えの早さは自他共に認める長所となっている。
指導する市ボクシング協会の内園智雄会長(46)は「まだまだ伸びしろがある。マイペースな性格でスケールの大きさも感じる」と進化を見守る。
中村は地元開催の国体に向け、活躍が期待されるジュニアアスリートにも選ばれた。「ボクシングで阿久根を盛り上げたい」と力を込めた。
(2022年10月7日付)